業界人の《ことば》から 第11回
米セールスフォース・ドットコム マーク・ベニオフ会長兼CEO:
CIOよりも、CMOが使う額のほうが多くなる時代がやってくる
2012年10月16日 09時00分更新
今回のことば
「企業の成長のために必要なのは、顧客接点型のシステムに投資することである。これからはCMOがITを知ることが最も重要なことになる」
(米セールスフォース・ドットコム
マーク・ベニオフ会長兼CEO)
ベニオフ会長兼CEOの「興味深い予測」
IT投資の主導権を握っているのは情報システム部門を掌握するCIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)であるのは明らか。だが、今後のIT投資の対象が現場部門へと移り、それに伴い、CIOよりもCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)の方が、IT予算を使う額が大きくなるとの予測が出ている。
9月に米サンフランシスコで開催された米セールスフォース・ドットコムの年次イベント「Dreamforce 2012」の基調講演において、同社のマーク・ベニオフ会長兼CEOが基調講演のなかで、「興味深い予測がある」として紹介したのがこれだった。
米ガートナーの予測によると、2017年には、CIOよりもCMOが費やすIT投資の方が多くなるとしており、ベニオフ会長兼CEOは、「この傾向はすでに現実のものになりつつある」と語る。
重要なツールになったソーシャルメディア
その背景には、企業のマーケティング活動、セールス活動において、ソーシャルネットワークの活用が不可欠になりつつあるという実態が見逃せない。欧米の先進的企業においては、ビジネスにソーシャルネットワークを活用することが、すでに一般化しはじめている。
例えば、ファッションブランドのバーバリーのAngela Ahrendts CEOは、「世界中のどこかで、だれかがバーバリーについてつぶやけば、それがネガティブな情報でも、ポジティブな情報でもすべて私たちの耳に入る。そして、つぶやいた20秒後には、私たちから連絡がいくことになる」とし、顧客接点の活動にソーシャルメディアを活用していることを示す。
さらに、コカ・コーラでは、2020年までに売上高を10年比で2倍にする計画を打ち出している。120年以上の歴史を持つコカ・コーラがわずか10年で売上高を倍増させるためには、よほどの戦略的な展開が必要になるといえるが、そこで同社が重要なツールに位置づけているのが、ソーシャルメディアである。
コカ・コーラのEd Steinike CIOは、「コカ・コーラには、毎日1万5000件のツイートがあり、Facebookには、500万人のファンがいる。今後10年の急速な成長において、これをいかに活用できるかが鍵になる」と語る。
すでにソーシャルメディアを活用したユーザーサービスに乗り出していることからもその本気ぶりがわかるだろう。
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