9月12日、デルはストレージの新製品として「Dell EqualLogic」ラインで2機種、「Dell Compellent」ラインで1機種を発表。EqualLogicの新しいブレードアレイは、同社のブレードサーバやForce10スイッチを組み合わせることで「単一のブレードエンクロージャ内で完全なデータセンターが提供される」という。
ブレード化されたEqualLogicストレージアレイ
新製品の「Dell EqualLogic PS-M4100ブレードアレイ」は、従来のEqualLogicアレイの全機能をブレードエンクロージャー内に格納できるようにしたもので、幅は標準的なサーバーブレード2枚分(ダブルワイド)、高さは5U分(ハーフハイト)の引き出し型の筐体に2.5インチHDDを最大14基搭載する。7200rpm SAS、10000rpm SAS、15000rpm SAS、SSDなど、搭載するドライブの違いによって4モデルが用意される。
最大容量は、1台のアレイ内で14TB(1TBドライブ使用時)、ブレードエンクロージャ内に最大4台を搭載でき、この場合の容量は最大56TB(2グループ構成)となる。さらに、ブレードエンクロージャ外部に接続したEqualLogicアレイをグループに含めた場合、単一グループで2PB以上の容量を実現できる。筐体はブレードエンクロージャ前面から引き出し、さらに筐体上面からドライブを抜き差しする「二重スライド式収納」となっており、オンライン中のドライブ交換/追加も可能。同日出荷開始で、価格は最小構成で265万円から。
また、PS-M4100ブレードアレイを利用した「デル・コンバージド・ブレード・データセンター・ソリューション」も発表された。単一のDell PowerEdge M1000eブレードエンクロージャ内にDell EqualLogic PS-M4110ブレードアレイ、最新世代のDell PowerEdge 12世代M420ブレードサーバ、Dell Force10 MXLスイッチを組み合わせることでブレードエンクロージャを「動作検証・認証済みの10GbEデータセンター」とするものだ。
買収から統合、そして革新へ
製品説明を行なった米デルのエンタープライズ・ストレージ プロダクト・マーケティング エグゼクティブ・ディレクターのトラビス・ビジル氏は、同社のストレージ戦略について説明した。2007年のEqualLogic買収から始まった同社のストレージ事業での買収戦略は、「獲得、統合、革新」という流れをたどる。
「獲得」は的確なテクノロジーを持つ企業を買収することを指す。これまでEqualLogic、Exanet、Ocarina Networks、Compellent、RNA Networks、AppAssureなどが買収されている。「統合」は獲得された機能をポートフォリオ全体で共有していく作業だ。買収企業を大きく分類すると、EqualLogicとCompellentがストレージプラットフォーム、その他の企業群がストレージに特定の機能を追加するストレージソフトウェアという位置づけになる。Exanetはスケーラブルファイルシステム、Ocarina Networksは重複排除と圧縮、RNA Networksはメモリの仮想化、AppAssureはデータ保護といった具合だ。
買収以前からあるPowerVaultと合わせて3種のプラットフォームすべてに対してこれらの機能を実装していくのが統合の狙いだ。その上で、同社が掲げる“Fluid Data Architecture”に沿って新たな革新を実現していく、というのが同社のストレージ戦略となる。
また、同日付で、エクサネットの技術をベースに開発された「Dell Fluid File System」の新バージョンの提供と、Fluid File Systemに対応するストレージコントローラーの新モデルも発表された。Fluid File SystemはPowerVault、EqualLogic、Compellentの全3プラットフォームで共通化され、スナップショット、レプリケーション、データ保護機能を備えたエンタープライズクラスの分散ファイルシステムとなった。また、EqualLogicブランドの「Dell EqualLogic FS7600」と「同FS7610」、およびCompellentブランドの「Dell Compellent FS8600」はいずれもFluid File Systemに対応する。こうした製品群は、同社の「獲得、統合、革新」のサイクルがうまく機能し始めていることの証明とも言えるだろう。
ビジネス面に関してビジル氏は、「デルのストレージ事業はミッドレンジ市場にフォーカスし、ハイエンドストレージの機能をミッドレンジの価格で提供することでミッドレンジ市場のユーザーとハイエンド市場のユーザーを共に取り込んでいく」としている。