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最新データセンターに最適!魅惑の4コイチサーバー 第3回

ブレードへのリスペクトとラックサーバーの再評価から生まれた

遅れてきたヒット商品?元祖4コイチサーバー「DL2000」の魅力

2012年09月20日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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古くからマルチノードサーバーに取り組んでいるサーバーベンダーとして、ヒューレット・パッカード(HP)が挙げられる。元祖4コイチサーバーとも呼べる「HP ProLiant DL2000」について、HP インダストリスタンダードサーバー製品企画部 部長の中井大士氏に聞いた。

ブレードとラックサーバーのいいとこ取りを目指す

 数多くのサーバーラインナップを持つHPの中で、データセンター向けのマルチノードサーバーとしては「HP ProLiant SL6500シリーズ」と「HP ProLiantDL2000シリーズ」(以下、DL2000)の2機種が用意されている。どちらもサーバー台数を増やすことでパフォーマンスを向上させるスケールアウトシステム向けの製品だが、今回の主役はより汎用性の高いスペックを持った4コイチサーバーDL2000を取り上げる。

2Uエンクロージャーに2/4台のサーバーモジュールを搭載する「HP ProLiant DL2000」

 DL2000は、「HP ProLiant e2000シャーシ」の2Uのシャーシと「HP ProLiant DL170e G6サーバー」というサーバーノードで構成される。しかし、サーバーモジュールがシャーシを貫通するNECの「Express5800/E120d-M」とは対称的に、DL2000では前面にディスクケージが用意され、サーバーモジュールはシャーシの背面から挿入する形になる。

DL2000では背面からサーバーモジュールを挿入する形となる

 DL2000は、この数年で盛り上がってきた省電力と高密度型のニーズに応えるべく、ブレードサーバーとは異なるアプローチで開発されたという。開発コンセプトについて中井氏は、「前世代からだとすでに4年近く、こうしたマルチノードサーバーの取り組みを進めていました。形状はブレードをリスペクトしているので、電源と冷却ファンの共用は省電力のために必須と考えました。一方で、DL2000は(ブレードに比べ)シンプルで、高いコストパフォーマンスを目指しています。ですから、各サーバーモジュールは完全に独立していますし、特別な管理機能やスイッチもついていません」と説明する。運用管理を考えればブレードサーバーが最適だが、ラックサーバーと同じ運用を求めるデータセンター事業者にはDL2000のような商材も必要だったわけだ。

日本HP サーバー&ネットワーク製品統括本部 インダストリスタンダードサーバー&ネットワーク製品本部 インダストリスタンダードサーバー製品企画部 部長 中井大士氏

 こうしたコンセプトを元に、CPUやメモリなどラックサーバーと変わらないスペックを実現しつつ、実装密度を高めた。また、比較的標準機能を省き、低コストを追及したSLシリーズと異なり、ディスク搭載数、および搭載可能なディスクのバリエーションを多くし、ホットプラグでのディスク交換も可能にした。さらにラックサーバーに比べて低廉な価格付けを実施したのも大きなポイントだという。

1Uと2Uのサーバーノードを選択できる

 ディスクケージは3.5インチSAS/SATA HDD/SSD×8、2.5インチSAS/SATAHDD/SSD×16、2.5インチSAS/SATA HDD/SSD×24から選択できる。ただ、挿入するサーバーノードの種類によって、割り当てられるディスクの台数は固定されている。「24台のディスクで4ノード構成であれば6台ずつ、2ノード構成であれば12台となります。構成によっては、ラックサーバーより多くすることも可能です」(中井氏)とのこと。

前面には2.5インチHDD×24のディスクケージを搭載している

 また、サーバーノードは高密度な1Uノードと拡張性重視の2Uノードの2種類から選択できるという特徴がある。1Uノードを挿入することで、ラックサーバーの倍の集積密度を持ついわゆる4コイチサーバーになる。「1Uノードはとにかく台数を並べられます。一方、縦長の2UノードはPCIeスロットが3つまで搭載できるので、前述のディスク搭載数も含め、従来の1Uラックサーバーよりも拡張性を高くすることもできます」とのこと。こうした特徴から、2Uノードをシステム全体の管理やHadoopのマスターノード、1Uノードを計算機のノードとして使い分けているような事例もあるという。

サーバーモジュールの全景。奥行きが短く、ファンなどは搭載されていない

 省エネにも配慮されている。「電源と冷却ファンを共用しているので、構成にもよりますが、1ノードあたり10%の省エネにつながっています」(中井氏)。また、DL2000はサーバーノードの独立性を重視しているため、統合された管理機能は搭載していないが、唯一パワーキャッピングだけはシャーシ単位で行なえる。「ノード単位での設定も可能ですが、たとえば4ノードで800W以上は使わないようにシャーシ単位で設定できます」(中井氏)。

背面に挿入する形の電源はサーバーモジュール間で共用する

大型ファンを共用し、サーバーモジュールを効率的に冷却する

発売当初は閑古鳥だったが、今は?

 NECや富士通が製品を発表し、盛り上がりつつあるマルチノードサーバーだが、DL2000が発表された2010年12月当時はユーザーの関心も低かったという。中井氏は、「発売したときは1Uサーバーを置き換えるくらいの鼻息だったんですけど、正直盛り上がりませんでした。使い慣れている従来の1Uラックマウントサーバーがベストという意見ばかりでした」と当時を振り返る。

 しかし、新興データセンターの建設が相次ぐ中国市場ではヒット製品になったほか、昨年からは日本でも俄然盛り上がってきた。昨今の電力事情も後押ししたが、日本でのきっかけは、某データセンター事業者での採用だ。同社のVPSサービスでの採用実績ができたことで、雪崩を打ったように他の事業者からの問い合わせが一気に増えたという。

 「1Uサーバーの汎用性を重視してきた方が、より経済的なサービス基盤を実現するために、こういうサーバーにチャレンジしていこうという動きが急速に広まって来ました。また、電力供給に余力が出てきたデータセンターも増えており、ラックあたりの豊富な電力を、余すことなく利用するために、より高密度なサーバーが求められるような流れができています」(中井氏)とのことで、まさに「モテキ」に突入したようだ。最新Gen8世代の製品投入が待たれる。

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