情報漏えい対策やIT統制をきっかけに「シンクライアント」に注目が集まっている。IDC Japanが2008年4月に発表した市場予測では、シンクライアント専用端末の出荷台数は2007年の実績値で11万1000台。2012年には67万台超となり、2007年~2012年の出荷台数における年間平均成長率は43.4%にもなるという。
日本ヒューレット・パッカードから新しいシンクライアント2機種が10月1日に発表されたので、「シンクライアント市場はさぞ盛り上がっているんでしょうね」と日本HPの広報に水を向けてみると「IDCさんの予測ほどではないんですけどね」と笑いながら答えが返ってきた。今年は昨年の倍ほどのペースで需要が伸びており、「2008年は本格導入期に入った」と見ているという。
今回発表されたのは、Linuxをベースとした独自の新OS「HP ThinPro」を搭載したエントリーモデル「HP t5545 Thin Client」と、Windows XP Embeddedを搭載したスタンダードモデル「HP t5630 Thin Client」。t5545は2万9400円、t5630は4万8300円と価格も安く、戦略上、重要な役割を果たす製品として位置づけているようだ。日本HPのシンクライアントのラインアップは、今回の2機種と従来からあるノート型2機種とハイエンド機1機種で、計5機種になった。
両機種は、サーバーやブレードPCに対するアクセス端末としての利用を想定している。画面情報を転送するプロトコルは、ICAとRDPに対応し、t5545はCitrix ICA 10とRDesktop 1.6、t5630はCitrix ICA 10とRemote Desktop 6.0が利用できる。Citrix XenDesktop DDC、VMware VDMなどのデスクトップ仮想化ソフトなどにも対応し、ブレードPCや仮想デスクトップをリモート操作できる。
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