強化版のG400シリーズも
ハードウェアT&L対応に遅れる
このG100/200に続き、1999年にMatroxは「G400」を投入する。内部は完全に256bit化され、ピクセルパイプラインもデュアル化された。また「Environment Mapped Bump」(環境バンプマッピング)などもサポートし、DirectX 6対応のグラフィックスカードとしてはそこそこの性能を発揮するようになった。
ただし、1999年はマイクロソフトが「DirectX 7.0」を提供開始した年である。NVIDIAはいち早くDirectX 7.0のハードウェアT&Lに対応した「GeForce 256」をリリースしたが、G400はこれに対応しておらず、後継の「G450」でもDirectX 6.1対応どまりであった。しかも、大幅に性能を強化した結果として、ついにチップは空冷ファンを使って冷却しないといけないほど、消費電力が増えたのもネックとされた。
G400はG100/200のDual Busを継承し、128bit幅のメモリーバス×2で構成される。搭載されるメモリーは通常の場合、166MHz駆動のSDRAMだったが、ハイエンド向けに200MHzのSGRAMを搭載した製品は「Millennium G400 MAX」という名称で販売された。だがそれでも、GeForce 256を初めとするDirectX 7対応グラフィックカードには及ばない性能しかでなかった。
だがG400が出てまもなくの頃には、「G400のプロセス微細化版が登場する」という話があり、当初はこれがDirectX 7に対応するとともに、性能を強化したバージョンになると噂されていた。ところが2000年秋に登場したG450は、確かに製造プロセスを250nmから180nmに縮小したものの、コアの動作周波数は同じまま。おまけにメモリーをSDRAMからDDR-SDRAMに変更した代わりに、バス幅を64bit×2としたもので、ようするに省電力化と低価格化がメインの製品だった。当然性能面では、G400とまったく変わらなかった。
G450では空冷ファンを省いてファンレス設計が可能になったほか、2つめのRAMDACをチップに内蔵したことで、1基のG450でデュアルディスプレーが可能になるといった、使い勝手の面での改善はあった。しかし肝心の性能が据え置きということもあり、コンシューマー市場ではますますプレセンスを減じる結果になった。
翌2001年には、G400ファミリーの製品である「G550」が登場する。G550は新たに「HeadCasting Engine」と呼ばれる独自のハードウェアT&Lエンジンを搭載するとともに、DirectX 8.1に対応したが、このHeadCasting EngineはDirectX 7.0のハードウェアT&Lと非互換という微妙なもので、結局DirectX 8.1対応のVertex Shaderで、DirectX 7.0のハードウェアT&Lをエミュレーションするというものだった。これではユーザーにとっては、G450とほとんど変わりがないというのが正直なところ。
この時期、Matroxの公開したドライバーの中には、このG550に続いて「G800」というコード名が登場していた。このG800は200MHz駆動のコアとメモリーバスを持つとされ、「今度こそハードウェアT&Lにちゃんと対応したシェーダーを搭載する」と期待されたのだが、最終的にリリースされないまま終わった。
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