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ストレージの未来が見える!EMC World 2012レポート 第2回

データ中心のITシステムを支える新ストレージたち

本命はこれ!競合より3倍速い新VMAXと拡張されたFAST

2012年05月23日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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EMC World 2012初日の基調講演後半は、EMC インフォメーションインフラストラクチャ製品 プレジデント兼COOであるパット・ゲルシンガー氏が登壇。昨年を上回る42製品という新製品の概要が明らかにされた。ここでは新製品のうちの本命ともいえるVMAXについて見ていこう。

物理学からひもとく「データ中心のコンピューティング」

 米EMC 会長兼CEO ジョー・トゥッチ氏に続き、宇宙船の船長を模した派手な演出で登壇したゲルシンガー氏は、コンピューティングの中心が、アプリケーションからデータに移っている点を物理学になぞらえて説明した。

EMC インフォメーションインフラストラクチャ製品 プレジデント兼COO パット・ゲルシンガー氏

 従来、コンピューターの世界ではアプリケーションを中心にシステムが構成されていた。ゲルシンガー氏によると、アプリケーションの「重力」にインフラや運用などが引きつけられ、緊密に連携せざるを得なかったという。この両者の「粘性」のため、ITは柔軟性を失い、運用管理に大きなコストをかけてきたことになる。この重力のくびきを解くのが、仮想化技術をベースにしたEMCのストレージだ。ゲルシンガー氏は、SAPでストレージのプロビジョニングを容易に行なう例を披露し、こうした粘性を解消していくと説明した。

 また、物理学の質量にあたるデータ量に関しても、ますます増大している状況も指摘した。今後数年で352ZBという膨大な量になり、これらビッグデータの最大活用がビジネスにとって大きな課題になると説明した。

 こうした仮想化やビッグデータを前提した製品として、同社は今回は「メガラウンチ」と称し、42製品を一挙に投入した。同社は、「すべてのニーズを満たす洋服(One size Fits All)はない」(CEO ジョー・トゥッチ氏)の方針の基、用途に応じたさまざまな製品を展開している。今回の新製品もStructure(構造)、Mass(データ量)、Velocity(頻度)、Half Life(ライフサイクル)の4つの種類に分類されている。

さまざまなデモンストレーションをまじえながら新製品についてアピールするパット・ゲルシンガー氏

 具体的には、基幹ストレージ「VMAX」、ミッドレンジ&SMB向けストレージ「VNX」、バックアップ製品「Data Domain」「Avamar」、分散型の仮想ストレージ「VPLEX」、スケールアウトNAS「Isilon」、クラウドプラットフォーム「Atmos」、その他管理ツールまで多岐におよぶ。フラッシュドライブの全面的な導入や階層化機能の深化、管理性の向上などが強化のポイントになる。ゲルシンガー氏および各部門の責任者によるメディアブリーフィングの内容から、主要な新製品の概要についてお伝えする。

基幹ストレージの枠を飛び越える新VMAX

 今回の新製品の目玉は、基幹向けストレージの新機種「VMAX 40K」だ。同社のVMAXはSymmetrixの後継機種として3年前に投入されたもので、今回発表されたVMAX 40Kはハイエンドに位置づけられる。一方で、従来のVMAXは「VMAX 20K」となり、エントリ機種の「VMAX 10K」と合わせて、3ラインナップの展開となった。

3ラインナップとなったVMAX

性能は他社製品に比べて約3倍高速

 ハードウェア面の特徴は、IBMや日立の競合製品に比べ、3倍高速という性能。マルチコアCPUによる高速化はもちろん、キャッシュを倍増させたほか、eMLCと呼ばれるフレッシュドライブの恩恵も大きい。単一ドメインで、2.5インチディスクを最大3200台までカバーできるほか、エンジン単位でベイを分離する機能が追加され、配置の自由度が向上した。エンタープライズストレージ事業部のブライアン・ギャラガー氏は、「性能だけではなく、集積密度やスケールアウトも優れており、ビッグデータのようなワークロードにも最適だ」と既存の基幹ストレージを超える使い方も可能だとアピールした。

EMC エンタープライズストレージ事業部 プレジデントのブライアン・ギャラガー氏

 ソフトウェア面では、特にFAST VP(Fully Automated Storage Tiering for Virtual Pools)と呼ばれる階層化管理の機能や性能が大幅に拡張された。まずIBMのSystem iなどメインフレームに対応したほか、FTS(Federated Tierd Storage)により、旧EMC製品や他社ストレージを階層化管理のドメインに含めることが可能になった。ギャラガー氏は、「他社製品まで弊社の優れた階層化管理に参加できる。(弊社は)なんて親切な会社だろう」とアピールした。また、バックアップやリカバリを実現するSRDFと連携することで、遠隔地との階層化管理も容易になるという。

 ギャラガー氏によるとFAST VPの導入効果は幅広い企業で認められており、高速化やコストの削減に寄与しているという。競合製品との比較でも、既存のVMAX(現VMAX 10K)では、FASTがレスポンス時間を半分に減らしているのに対し、HP 3PARではレスポンス時間が大幅に拡大していると指摘した。

Federated Tierd Storageで他社製品と連携可能

HP 3PARとのレスポンス時間の比較

 さらにVNXのGUI管理ツールである「Unisphere」がVMAXに移植されたのも大きなトピックだ。プロビジョニングやコンテキストベースの管理などGUI環境から可能になる。

GUI管理ツール「Unisphere」がVMAXに移植

サービスプロバイダー向けのVMAX SPも披露

 先週発表された「VMAX SP」というハイブリッドクラウドでの利用を前提にしたサービスプロバイダー向けの拡張についても言及された。これはマルチテナント環境での利用を前提に、顧客専用のポータルで個別の設定をプロビジョニングしたり、事前設定されたサービスをカタログ化することが可能になる。また、リソースの測定や課金もサポートされるほか、顧客ごとのパフォーマンスQoSの最適化やクラウドの連携を強化するREST APIもサポートされる。

 ギャラガー氏は、「ハイブリッドクラウドでユーザーに選択肢を与える。ワークロードの程度やアプリケーションのパフォーマンス要件によって、データセンターに持ってくるか、オンプレミスで展開するかを選べる」とハイブリッドクラウドの利用を促進する製品の位置づけについて述べた。

サービスプロバイダー向け製品の拡張

 概して、既存の基幹向けストレージの枠を飛び越えた機能拡張が多く、意欲的な製品といえるだろう。

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