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ストレージの未来が見える!EMC World 2012レポート 第4回

EMCバックアップリカバリ部門のトップに聞いた

ビッグデータのバックアップも必要!進化するData Domain

2012年05月25日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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EMC World 2012で発表された新製品のうち、本命のVMAX 40、対抗のIsilonを紹介してきたが、穴はやはり成長株のData Domainだろう。米EMC バックアップリカバリ部門のプレジデントであるBJ・ジェンキンス氏のインタビューを踏まえ、新製品やアップデートの概要をおさらいしておこう。

1000の顧客をテープレスに

 重複排除ストレージである「Data Domain」は、すでにEMCのバックアップリカバリ部門の主力製品に成長しつつある。「米国ではData Domainにより、すでに1000社近くがテープレスのバックアップ運用に入っている」(ジェンキンス氏)とのこと。日本でも、昨年の震災以降高まったバックアップやDRの需要を受け、一気にブレイク。低価格モデルの登場と共に、日本法人でも売り上げの一角を占めるようになっている。ジェンキンス氏は、「障害や災害があったときにすぐに戻せること、さらにフロアスペースや運用コスト、消費電力などのコスト削減が実現できることが磁気テープからの乗り換えの背景になっている」とアピールする。

米EMC バックアップリカバリ部門 プレジデント BJ・ジェンキンス氏

 また、書き込みや読み出しエラー、ドライブ障害、メタデータ破損などの影響を受けることなく、整合性を確保し、確実にデータが戻せるというData Domain自体のアーキテクチャも大きい。さらにバックアップ体制を変更しないで、デバイスだけを変更すればよいというのも売り。ジェンキンス氏は「もちろん、EMCのNetWorkerを使ってくれればうれしいが、基本的にはバックアップソフトのベンダーは問わない。ユーザーに選択肢を持ってもらうのが重要だ」と語る。

高速・大容量のハイエンド機種「DD990」を投入

 今回、追加された新製品がハイエンドのアプライアンス「Data Domain DD990」になる。248TBのバックアップを8時間で完了する高いパフォーマンス、最大1.3PBというキャパシティが大きな売りで、「競合に比べ、6倍高速で、3倍大容量」という。「最大270サイトまでレプリケーションが可能だ」(ジェンキンス氏)とのことで、DRへの関心の高い日本でも受け入れられそうな製品である。新バージョンのソフトウェアでは、顧客ごとにパーティションを分けるマルチテナントの機能も追加。顧客データのクラウドバックアップといったソリューションで効果を発揮しそうだ。

ハイエンド機種「Data Domain DD990」

 また、Data Domainと双璧をなすAvamarにも拡張が加えられた。最新の6.1では、VMware環境においての重複排除性能が大幅に向上し、競合に比べ、3倍の性能、30倍のリカバリ時間の短縮が図られた。SAP、Sybase、Microsoft SQL Server 2012などが新たにサポートされたほか、Oracle対応も強化されたという。

 次の布石も確実に打っている。Data Domainと連携して、重複排除を行なうDDBoostでは新たにGreenplumをサポートしているのだ。ジェンキンス氏は、「ビッグデータでもバックアップが必要だ。われわれにとっても非常に大きな市場機会となる」と、意欲を見せる。今回はDD990を投入したが、処理能力の必要なビッグデータ向けということで、「当然、より高速で大容量な機種も検討していかなければならない」(ジェンキンス氏)とData Domain製品の一層の拡張も視野に入れている。

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