HP「GLOBAL INFLUENCER SUMMIT」レポート 第3回
プライベートイベント“GLOBAL INFLUENCER SUMMIT”で新部門の取り組みを紹介
HP、インクの品質向上、さらに低価格化を目指す
2012年05月12日 06時00分更新
ウルトラブック新製品の発表で話題となった米ヒューレット・パッカードによるプライベートイベント“GLOBAL INFLUENCER SUMMIT”だが、このイベントを主催する「プリンティング&パーソナルシステムズ グループ(PSS Group)」は、PC部門(Personal Systems Group)とプリンタ部門(Imaging and Printing Group)の統合で誕生したばかりの部門。イベントでは、プリンターの新製品からインクの品質向上、さらに低価格化を目指す取り組みも紹介された。
プリンターの新製品は、初日の基調講演で紹介されたバッテリー内蔵のビジネス向け複合機「Officejet 150 Mobile All-in-One(AiO)」、そしてレーザープリンタ/複合機「LaserJet」シリーズの4製品だ。
Officejet 150 Mobile AiOは、ノートPCのようなバッテリーを背面に搭載しており、コンセントを接続することなく利用可能なカラーインクジェット複合機。プリント機能のみのバッテリー内蔵製品「HP Officejet 100 Mobile」としてすでに販売しているが、複合機(A4カラー印刷や片面スキャン、コピー)は本機種が世界初になる。
利用可能なインターフェースは、USB 2.0/PictBridge、Bluetooth 2.0+EDR、メモリーカードリーダー(SD/MMC)で、PCやデジカメ、スマートフォンから利用できる。バッテリーの重さは約200gとノートPCの標準バッテリー程度で、フル充電すれば最大500ページの印刷が可能だ。
価格は399ドルで、6月に出荷予定。印刷単体のHP Officejet 100 Mobileは国内でも販売されているため(1万9950円)、本製品も国内登場するとみられる。
「プリンタメーカーはインクで儲ける」はHPには当てはまらず
PCと同様に低価格化が進むプリンターだが、本体が安価になることで相対的にランニングコスト(インク代)が高くなってしまい、サードパーティ製の互換インクが普及する要因ともなっている。このインクが高いという全世界共通の問題に対するHPの回答は2つある。高品質化と低価格化への挑戦だ。
インクの品質への取り組みはブレイクアウトセッション「Quality&Reliability(品質と信頼性)」で取り上げられており、プリントアウトに水をかけてもインクが流れないことをデモンストレーション。さらに、強力な光により1年間太陽光にさらした状態を1日で作り出す装置で実験し、安価なインクではすぐに色あせてしまうが、純正インクであれば10年経っても色が変わらないという結果が得られていることを紹介。一度印刷すれば何年も持つ純正インクは、結果的にリーズナブルでもあるとした。
低価格化への挑戦は、2日目の国別インタビューにて、基調講演にも登壇したジョン・ソロモン氏とステファン・ニグロ氏(Senior Vice President, Inkjet and Web Solutions, PPS)が説明をしてくれた。
両氏によると、そもそも純正インクは3年間で5万時間もかけて開発したものであり、ランニングコストを下げるために品質を下げることはあり得ない。そこで、インクの原料を替えるのではなく、インクカードリッジのデザインを変えたのだという。より低コストにソリューションを提供できるようカードリッジの形を変えて、コストの削減に努めたということだ。
ランニングコストが下がることで、コストの問題による印刷へのためらいがなくなり、印刷量が増える。さらにランニングコストがかからないプリンターはユーザーに気に入られ、今後の購入も期待できる。「プリンタメーカーはインクで儲ける」構図が崩れることで利益が減少するのではと考えがちだが、ランニングコストの削減は利益的なメリットをもたらすのだという。
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