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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第93回

野本かりあ×キャプテンミライ “エスエフ”結成記念インタビュー

渋谷系、ネットと出会う 小西康陽から「ボカロP」へ

2012年05月05日 12時00分更新

文● 四本淑三

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「私の声質を把握してくれた作りだったんで、
ものすごくスムースだった」

―― なにしろ小西さんのプロデュースで、渋谷系でおしゃれというイメージがあるのに、何でボカロPなんだと。

カアリイ そうですよね。でも、別に私、おしゃれじゃないから。こういった形でやれる方が自分にとっては自然。丹治くんの曲は好きなんで。

―― 今までいろんなプロジェクトがあったと思うんですが、その中でエスエフはどう評価しますか?

カアリイ 一番自分らしいかも知れないですね。小西さんの持っている世界って、私が普通に生きてきた中ではひとつもなかった世界だから。まったく別世界にボンと入れられて、最初のうちは自分のこのキャラが出たらぶち壊しだから、ライブでもMCが全然できなくて。

小西康陽さんの世界をどう表現したら良いか、初めは分からなかったという野本さん

―― あれっ、そうだったんですか?

カアリイ だって、小西さんと最初に会ったときは、ヒステリックグラマーを着て、こーんな頭して。向こうからしてみれば「ルックスはタイプだけど、その服なに?」 みたいな。途中から小西さんが「自分を出していいよ」みたいなことを言って下さって、急にブログ始めたりとか、DJ始めたりとかしたんですけど。

キャプミラ あ、そうそう、カアリイはアナログ盤でDJやっているんですよ。

カアリイ レコードしか触れないんです。それで途中からは自分らしくやらせてもらったり、PVもこういうのどうですか? と提案してみたり。でもそれは小西さんの世界をある程度把握した後だったんで、その上で参加するという感じだったかな。

―― キャプミラさんの曲が殿堂入りしないのは、自分の音楽体験に忠実でウソをつけないというか、曲がボカロ向きじゃないところもある。そういう意味でも理想的なボーカリストを見つけてきたなと思いました。一曲目の「プロペラソング」なんかは、声の質だけでもっていけてるし。

カアリイ 褒めてもらった!

キャプミラ 一曲目はカアリイのイメージで作ったし、ブレてないよね。こういった淡々とした曲は人間じゃないと成り立たないんですよ。

1曲目「プロペラソング」は野本さんに“人間の声”で歌ってもらわなければ成立しないというキャプミラさん

カアリイ この曲はすごくいい曲だし、自分に合わせて作ってくれたなというのは、すごく分かるので。

キャプミラ ちょっとぶっきらぼうに歌っていても情報量はあるんで、オケはものすごく抑えているんです。ボーカロイドだともっと派手にしないと間が持たないけど、カアリイの声に合わせていくと自然とそうなっていく。ボーカロイドって歌とリズムだけだと持たない、インストルメンタルミュージックとして捉えたオケじゃないと、成り立たないんですよね。

Image from Amazon.co.jp
International Deejay Gigolo...

カアリイ このために、私の歌ったいろんな曲を渡して。昔、テクノのクラブで遊んでいた時に知り合った、Zombie Nationっていうドイツ人ユニットの片割れと作った日本語の曲とか。それで今回のプロペラソングを作ってくれて、私の声質を把握してくれた作りだったんで、ものすごくスムースだった。

※ Sterilの「Grey」という曲。コンピレーションCD「International Deejay Gigolo」に収録されている。

―― いや、それは実にちゃんと考えてあって大したもんですな。

キャプミラ だからちゃんとしてるんですよ!

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