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4つの施策でソニーを立て直す 次期CEOの平井氏が会見

2012年02月02日 21時38分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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コモディティー化のチキンレースではなく
付加価値のある商品作りを目指す

会見中は終始硬い表情だった平井氏とストリンガー氏だが、会見終了後は笑顔も見られた

 平井氏の会見からはっきりとわかるのは、コモディティー化が激しく差異化を打ち出すコスト的な余裕もない事業については、大なたを振るうことも辞さない。一方で差異化技術を打ち出せる事業については、重点的に投資して成長させるという目標である。しかし、これが簡単ではないことも明らかだ。

 特にテレビ事業の立て直しについては、質疑応答でも質問が相次いだ。テレビ事業自体の撤退の可能性について平井氏は、「新しい商品や楽しみを提供する中で、テレビを通して楽しむのは、増えることはあっても減らない。(中略)テレビ撤退は重要なリンクを失うこと」としてこれを否定。一方で現在進行中の事業立て直しについては、軌道修正の必要があれば行ない、他社との協業についても「オプションとしてあれば検討する価値はある」として、含みを残した。

 また、ソニーの本流と言えるエレクトロニクス分野出身ではない平井氏の改革に対して、社内の反発の可能性や改革への不安についても問われた。平井氏は自らが携わったプレイステーション事業を引き合いに、ゲーム機の事業はエンターテインメントだけでなくハードウェア事業でもあると述べたほか、VAIOやウォークマンといった事業も3年間担当してきたと実績を示した。また一方で、難しい判断をきちんと筋を通して実行できるかが問われるとして、本流に対する経験よりも経営者としての実行力が重要であると述べた。

 なおメディカル事業に重点を置くことについては、オリンパス光学工業との提携にも関心が集まるところだが、この点について平井氏はコメントを避けた。

 会見の最後で平井氏は、「お客様にソニーらしい商品を提供するのはもちろんのこと、いかに素晴らしい、ソニーらしい体験を提供できるのか。そのためには社内のエンジニアリングリソース、クリエイティブな商品設計やデザインリソースを、集中領域に大胆に投入し、素晴らしい商品を生み出すのは大前提。ハードウェア商品とソフトウェア、コンテンツ、ネットワークを融合してお客様に体験を提供する。そして体験を提供することを通じて、お客様のライフスタイルそのものも変えていきたい。その変革に向かって、ソニーは大きく舵を切らなければならない」と述べた。

 それが実現できるだけの商品からコンテンツ、サービスのリソースを有するのは、アップル以外ではソニーくらいであろうというのも事実である。新体制化でのソニーの変革と、変革が実現する素晴らしい商品の登場に期待したい。

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