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エプソンのフォトスキャナーで思い出をしっかり保存

Colorio GT-X820で紙焼き写真とフィルムをスキャン三昧!!

2012年02月08日 11時00分更新

文● 林 佑樹(@necamax) 写真●篠原孝志(パシャ)

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大掃除で紙焼き写真&フィルムが大量出土

 先日、ガジェットだらけの東京の自宅を離れ、季節外れの帰省をした。先に述べた通り、親類の結婚式用素材発掘と撮影のため。

 その素材を受け取ったあと、リア充、じゃなくて新郎新婦をスタジオで撮影、その足で久しぶりの実家帰省もして、押し入れや物置のお掃除をする業務をこなしたわけだが……その際に膨大な紙焼き写真とフィルムを発掘。10年以上前のものばかりで、筆者がまだベイビー時代の写真だけでなく、結婚直後と思われるかーちゃんの写真まであった。さらには祖父母の写真までも……こちらはかなり破損していた。

発掘された紙焼き写真とフィルムの一部。両親に「あんたの写真は、ほとんどないわ~」と言われていたのだが、ロストしていただけじゃないか!!

 両親が懐かしそうに見てる隣で、平素の仕事モードが発動し、「紙焼き写真の色あせっぷりがすごいな」「フィルムはチェックしないとわからないかなぁ」「どのデバイスを使うのがいいだろう?」などと思案していた。フィルム、とくにネガは退色の有無がわかりにくく、スキャンかプリントする必要がある。

アナログ写真のデジタル化計画発動

 案の定、両親から「お前は、パソコン詳しいからすぐにキレイにできるだろ」「いつまでも結婚しないんなら、親孝行してほしいわ~」などという、実に理にかなったお願いをされた。

 そんなわけで、必要なのはスキャンすることだ。デジタル化すれば写真の劣化は止まるし、修復もパソコン上で作業できる。しかし、現在手持ちのスキャナーは複合機に搭載されたドキュメントスキャナーで、フィルムスキャンには向かないし、紙焼き写真にしても再現性に難がある。そこでフォトに注力したスキャナーが必要と考え、購入に至ったわけだ。

 ちなみに親類の結婚式用写真は30枚と少なかったので、デジタル一眼で撮影して修正しようなどと考えていたのは秘密だ。この手段は少ない枚数に有効だが、実家で発見された1000枚以上の写真に対して行なうには効率が悪いし、逆に手間が増えてしまう。予想外の出費だが、かかる時間の節約と親孝行ということで衝動買いを決めた。

「GT-X820」を選ぶ理由

 「GT-X820」はミドルレンジに該当するといっても、性能としてはプロユースに耐えるほどだ。高精度かつ高い色再現性を実現したα-Hyper CCD Ⅱにはとくに注目。これはRGB各色4ライン分のCCDを緻密に並べることで精度とノイズ低減を両立させたもの。加えて、同一基板上にADコンバーターを設置して、ノイズレスに近い状態を生み出せる点も評価◎だ。

 とまあ、文字で説明するだけでは分かりづらいと思うので、実際に例を出してチェックしていこう。写真は10年以上前のポジフィルムをスキャンしたもの。ポジフィルムは階調が豊富で、スキャンすると階調がなくなりやすいし、色再現でもスキャナーの性能によっては色が死んでしまいやすい。逆にスキャナーの性能がよければ、目でポジを見たままの絵がモニターでも確認できる。

 まずは1枚目。鈴鹿サーキットでの2輪レースの写真だ。色再現は完璧でホームモードのままでも問題なかった。多少退色していたので、後述する「退色復元」の項目をオンにしたのみだ。注目点は左のライダー。ライダースーツの原色の再現度はご覧のモニターでもわかるハズ。またタイヤなどのグラデーションも残っている。高画質には、単に解像度の高さだけでなく、階調の豊かさが重要であることが分かる一枚だ。

写真左手前のライダースーツに注目してほしい。原色寄りのデザインだが、微妙なグラデーションもしっかりと再現されている。そのほかのライダーについても、ぼやけた状態でも階調は維持されているし、色飛びもない。右の写真は、左の写真をトリミングしたもの。タイヤや金属パーツ部分の階調の豊富さをチェック

 2枚目は夕焼け。デリケートな階調ができるため、色再現性の高さを要求される。仮に色再現性が低い場合は、全体的にのっぺりしてしまうところだが、「GT-X820」では夕焼けのグラデーションを見事に再現している。これまた後述する「DIGITAL ICE」機能のみオンにしてスキャンしたのみだ。

コンパクトデジタルカメラで撮影したときなどに顕著だが、夕焼けの赤みは、なかなかキレイに出ない。目で見たものと撮影画像の違いに驚いた経験がある人も多いだろう。スキャナーも同じで、色再現性が低いと、ここまでキレイには出てくれない。また車の影の微妙な階調を拾っているのも、購入してよかったなと思った点だ

 また、一昔前のスキャナーにありがちだったウォームアップ。これも白色LEDを2本採用することでウォームアップレスを実現し、セットしたらすぐにスキャンできる。一昔前のフォトスキャナーはこの時間が長く、大変イライラさせられた。とにかくスキャン枚数が多いため、この点でも「GT-X820」を選ぶ理由になった。

 もっと大量に、かつプロフェッショルな厳密性が求められるなら最上位機種「GT-X970」でもいいし、ローコストに済ませるならエントリー機「GT-F730」だが、画質と性能、コストパフォーマンスを検討した結果、今回は「GT-X820」になった。

 ちなみに、一般的なスキャナーにはCCDとCISの2種類の方式がある。本機のようなCCD方式は大型ユニットが必要になるが、多少の凹凸があってもキレイにスキャンできるし、何より被写界深度が広いため、ネガやポジのスキャンにも対応してくれる。

 対してCISは、ユニットの小型化に向いており、エントリーモデルや複合機に多く採用されている。こちらは凹凸のあるものには弱く、たとえば本の見開きをスキャンするとき中央部分で生じる凹み周辺はボヤけてしまう。またネガやポジのスキャンはできない。

キズを除去するDIGITAL ICEがスゴい!

スキャン時に使用するのは「EPSON Scan」。シンプルなアプリだ。ホームモードの場合、画面中央の「画質調整」の各項目にチェックを入れることで補正が効くようになる

 同梱のスキャンソフト「Epson Scan」には「全自動モード」「ホームモード」「プロフェッショナルモード」の3種類が用意されている。

 全自動モードは初心者向けなのだが、以降で紹介する「DIGITAL ICE」が使用できないため、古い写真をキレイにしたいという場合には不向き。ホームモードは、全自動モードに近く、細かい設定も不要でありながら各種補正機能を活かせるという、良いとこ取りのモードだ。まずはこのホームモードから触ってみるといいだろう。

 DIGITAL ICEとは、紙焼き写真のゴミや汚れ、折れ目などを自動的に検出して修復してくれるというもの。フィルムの場合にも有効で、ホコリやキズを自動補正してくれる。効果は「標準」「強」の2通りあり、最近の写真ならば「標準」、10年以上前なら「強」という意識でよさそうだった。

DIGITAL ICEの性能チェックにちょうどいいネガフィルムを発掘した。朝の海岸だが、スキャンしてみたらゴミやキズだらけだった

そこでDIGITAL ICEをオン。点に近いゴミはともかく、複雑な線は残るかなぁと思ったら、それも自動補正されていた。手軽でいいなぁ。もちろん、完璧にいかないケースもあるが、大半は補正してくれるため、写真加工ソフトを触る時間を大幅にカットできるのは、やっぱりありがたい

 なお、修復できないほどひどい折れ目や傷がある場合でも、過度の補正をかけてしまう心配はない。処理されなかった部分は写真加工ソフトで対応すればいいし、大半はその加工も不要なので、大幅な負担解消になる。

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