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T教授の「戦略的衝動買い」 第177回

昭和な“磨りガラス”を使った「フリッソン」腕時計を衝動買い

2012年01月27日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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ベルトの長さはハサミで切る裁断式

 フリッソンの最大の特徴は、本来なら、文字盤の視認性をアップすべく、強化クリスタルガラスや、無反射の特殊強化ガラスを使うのが一般的な風防に、特殊処理をした「ルミナスガラス」風防を採用した点だ。ルミナスガラスや特殊処理と聞くと極めて格好良く聞こえるが、実はごく“普通のガラス”に“細かな傷”を付けただけの通称「磨りガラス」を採用しただけだ。

シリコンベルトの調整は、ブッツリとはさみで切って、自分の腕サイズに合わせるので、心配な人はお店でやってもらう方が良いかも

ダブル・バックル方式と柔らかいシリコンベルトのおかげで装着感は上々だ

 磨りガラスは、外部と内部の間仕切りとして、人が見えないように遮蔽したい目的で使う、ある意味特殊なガラスだ。昭和な家屋では室内でも障子や襖と合わせて使われたり、外の世界との分離に採用されることの多かった。うっかり浴室のガラスなどに使ってしまうと、浴室にいる人にとってはヤバいことになる。浴室が温まり、室内が湯気で満杯になると、その湿気で不透明だった磨りガラスが一時的に半透過な状態に変化する。

 フリッソンは、その磨りガラスの細かな傷のある乱反射する面を外側にセットした腕時計だ。水分が表面に付着することで、平滑性が増し乱反射が無くなり、内部が透けて見える。風呂場の磨りガラスと同じだ。マーケティング的に誇張するなら、「特殊処理したルミナスガラスによるファンタジックな時刻表示手法を採用!」となるのかもしれない。

バックルにもブランドロゴと、限定出荷商品のタグラインが記されている

普段の風防は、こういう感じのきめの細かなすりガラス状態

 実際に、普段、腕に装着しているフリッソンは、時刻がまったく見えないわけではなく“ぼんやり”とは見えている。しかし、他人から見れば、明らかに「おかしな腕時計」をしていると映るだろう。しかし、ずっと腕時計を気にしながらチラチラ見ている彼女に、ドラスティックな変化を見せるために、文字盤を覆っている「風防の表面を舐めてみろ……」なんて普通は言えないだろう。

風防の表面に水分が付着すると、表面が平滑化し乱反射が抑えられ半透過状態になって文字盤の表示する時刻やカレンダーがはっきりと見えるようになる

部分的に水を垂らしてみるのもデモ効果は高い

 そんな時は、多少上品に「息吹きかけてみたら!?」って言って、その視認性の変化を見せる楽しい腕時計だ、きっと、会話力の欠損部分を多少なりともリカバリーして、コミュニケーション・チャンスをアップしてくれるかもしれない。経験から、息を吹きかけた後、指先で風防をやさしく撫でてやることが、効果をマキシマイズするテクニックだ。けっこう、過保護で面倒なフリッソンなのだ。

白っぽいものと合わせて使えば、なかなかスッキリとした印象になるだろう


T教授

今回の衝動買い

アイテム:フォルティス「フリッソン腕時計
価格:12万6000円(御徒町アメ横 TSホリウチにて購入)

T教授

 日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
 T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。

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