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グローバル化とクラウドの時代に再評価!リバーベッドのWAN最適化 第3回

最適化範囲はWANからインターネットへ拡大する

可視化からvADCまで!リバーベッドの最適化戦略は続く

2011年12月01日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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WAN最適化を極めるべく技術革新にいそしんできたリバーベッドの最新ソリューションを解説する本特集。最終回では、見える化を可能にするCascadeとデータセンターでの最適化を実現するStingray Traffic Manager(旧Zeus)とStingray Aptimizer(旧aptimize)という2つの新技術を紹介する。

高速化の前に必要なのはやっぱり「可視化」

 前回までで見たとおり、リバーベッドのWAN最適化ソリューションを用いると、アプリケーションのレスポンスは劇的に向上する。キャッシュや圧縮、プロトコル最適化などの技術を組み合わせることで、Webアプリケーションの待ち時間が解消されたり、ファイル転送やバックアップの時間が短くなったり、といった効果が得られるはずだ。しかし、こうした体感的なレスポンスだけでは、導入効果をきちんと測定することが難しい。そもそも、企業や組織において、ITパフォーマンスがどうなっているのか、どこに障害や性能劣化のボトルネックが存在するかを把握しているところは少ないだろう。

 これに対して、リバーベッドが提供するのが、「Cascade」という可視化のソリューションだ。これは2009年に買収したMazu Networksの製品をベースにしており、ネットワークトラフィックを分析し、パフォーマンスやユーザーのやりとり、アプリケーションやユーザーの依存関係まで洗い出す。収集した情報を元にアラートを挙げたり、突然のトラフィック増大を検出することで、マルウェアの攻撃などを検出する。もちろん、Steelheadによる導入効果を定量化することもお手の物だ。

可視化ソリューション「Cascade」のシステム構成

 Cascade自体は、NetFlowやsFlow、IPFIXなどのフローデータを収集するゲートウェイや、タップポートからパケットを取得するセンサー、レポートや分析を行なうプロファイラーなどのアプライアンス製品から構成されている。もともとはNetFlowのようなL3のトラフィックのみが対象だったが、Wiresharkによるプロトコル解析を専門とする部隊を買収したことで、L2レベルのキャプチャまで可能になったという。また、センサーの仮想アプライアンスも用意されており、拠点などへの導入も容易に行なえる。

 リバーベッドはなぜ企業買収まで行なって、こうした可視化ソリューションを拡充したのか。やはり、まず現状を把握したうえで、最適化を施し、統合を進めるというフローを構成しようと考えているからだ。しかも現状把握は、見える化が行なわれていなければ、特に経営者に対して説得力を持たない。こうした課題を解決するのが、Cascadeのソリューションだ。

高速化を超えた「真の最適化」をどん欲に求める

 今までリバーベッドは、WAN最適化というソリューションを追求してきた。今後は高速化はもちろん、信頼性や管理性の向上も求められる。こうした真の最適化を実現するため、リバーベッドは最近ゼウス・テクノロジー(Zeus Technology)とアプティマイズ(Aptimize)という2つの会社を買収した。

 ゼウス・テクノロジーは仮想化に最適化されたADC(Application Delivery Controller)やロードバランサーを提供するベンダー。もともとApacheの高速化を手がけており、最適化のためのスクリプティング技術に長けていたという。

 同社がユニークなのが、アプライアンスではなく、ソフトウェアとして製品を提供している点。特にハイパーバイザーに最適化された仮想アプライアンスは、1つのマシンで最大64のvADCが安定して動作するとのこと。レンタル可能なライセンスを採用しているため、おもにクラウド事業者で導入されているという。機能面でも、さまざまな負荷分散アルゴリズムを実装するほか、SSLアクセラレーション、セッション維持、ヘルスチェック、クラスタ構成などをサポート。価格も安く、信頼性や可用性、管理性の向上を実現するのに最適な製品だという。

 もう1つのaptimizeは、Webページの軽量化やデバイスにあわせた最適化を可能にするWCO(Web Content Optimization)技術を持つ。アプティマイズは、複数のファイルやスクリプトの集合体であるWebページの要素を統合し、ユーザーに再配信することで、Webブラウザーとサーバーのやりとりを最小化する。これにより、エンタープライズのアプリケーションやWebサイトのレスポンスを最大4倍高速化できるという。

aptimizeでのWebコンテンツ最適化

 買収された2つの会社の製品は、現在「Stingray」という新しいブランドネームで展開され、さらに使いやすく、高機能化への開発を進めていくことになる。リバーベッドのWAN最適化戦略を実現すべく、ますます強力なターボエンジンが増えたのは間違えない。

最適化の野望はWANからインターネットへ

 リバーベッドの野望はさらに拡がっている。今までの守備範囲だったWANにとどまらず、インターネットにまで最適化の範囲を拡げようというのだ。直接WANをつなげる国内の事業者ならともかく、グローバルで展開されているクラウドサービスに関しては、インターネット経由でアクセスするのが一般的だ。この場合、当然ネットワークは最適化されておらず、レスポンスや信頼性が担保されないことになる。

 こうした課題に関してリバーベッドが手を組んだのは世界最大規模のCDN(Contents Delivery Network)を展開するアカマイテクノロジーだ。アカマイの誇るGlobally Distributed Edge Platformを経由することでインターネットのアクセスは最適化され、WAN最適化に関してはリバーベッドが受け持つという役割分担だ。この提携により、社内システムやプライベートクラウドとパブリッククラウドを連携させたハイブリッドクラウドがまさにエンドツーエンドで最適化され、大きな利用価値を生むことになる。特にグローバル展開する大企業にとっては朗報といえるだろう。

アカマイとの提携でインターネットも最適化

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 本連載では、全3回でリバーベッドのWAN最適化の取り組みを見てきた。本社とデータセンターなどをつなぐWAN高速化で始まった同社の取り組みが、拠点やモバイル環境にまで波及し、さらにクラウドやインターネットにまで適用範囲を拡げているという点が理解いただけたのではないだろうか? 

 昨今、企業のグローバル化や、それに伴うクラウドの普及において、欠けている視点がネットワークの最適化だ。多くの企業はデータセンターの立地やクラウドのコストなどに目を奪われ、ネットワークについて気を遣っていない。回線調達は通信事業者任せで、つないでみたら使い物にならなかったという例は多いはずだ。こうしたクラウド時代だからこそ、アプリケーションのレスポンスを向上させ、帯域を節約するWAN最適化は、再度注目すべきソリューションといえる。そして、そのWAN最適化ソリューションを選択するに当たっては、リバーベッドが筆頭に上がってくることが間違いない。

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