12月9日、リバーベッドテクノロジー(以下、リバーベッド)は同社のWAN高速化ソフトウェア「RiOS(Riverbed Optimization System)」と「Steelhead Mobile」の最新版についての説明会を開催した。また、グローバルでのクラウド戦略についても言及された。
対応アプリの増えるRiOS 6.0
RiOSはリバーベッドのWAN高速化装置「Steelheadアプライアンス」に搭載されている同社のコアとなるソフトウェアで、キャッシング、圧縮、プロトコルの最適化など複数の技術を駆使して、拠点間の通信で発生する遅延を最小化する。今回発表されたRiOS 6.0では、対応アプリケーションをいっそう増やしたほか、使い勝手も向上させた。
- Mac CIFSクライアント
- MacでのCIFSクライアントをサポートし、最大60倍の高速化を実現する。対応するのはMac OS Leopard/Snow Leapald。
- Citrix ICA対応の強化
- Citrix XenAppの暗号化トラフィックでの高速化に対応したほか、同じポートを流れるICAのトラフィックをクラス分けできるようになった。帯域幅を最大83%削減し、応答時間を短縮する。
- リモートプリンティング
- CIFSの最適化を印刷トラフィックにまで拡張し、WAN経由での印刷を高速化。74パーセントのデータ削減とい4倍の高速化を実現。
- Oracle E-Business 11iと12
- オラクルのSun JREへのJavaVM変更にともなった強化。Sun JREを試用したHTTP/HTTPS、ネイティブモードのOracle Formsを最適化する。
- Webアプリケーションの高速化強化
- Webベースのアプリケーションの高速化を強化。5.5で対応済みのページ内にリンクされたコンテンツを先読みするURLラーニング、パース&プリフェッチ、メタデータキャッシュに加え、画像やボタンなどをオブジェクト単位でキャッシュするHTTPオブジェクトストアが追加された。
- SSLの対応強化
- サーバーのIPアドレスを自動認識することで、証明書の設定を最適化するほか、サーバーの範囲を限定するために*.riverbed.comのようなワイルドカードをサポート。さらに性能向上のために、安全なSSLセッションを再利用する。
- Adaptive SDR
- ディスクの遅延、スループット、CPU使用率、WANの利用効率などを監視し、データの重複排除と圧縮で最適化を行なう。スループットの高いメモリとデータ削減効果の大きいHDDをダイナミックに選択。
- SMB署名の強化
- CIFSのファイル共有では、中間者による乗っ取りを防ぐためにCIFSメッセージに署名を付けられる。RiOS 5.5では、SMB署名への対応を行ない、6.0では設定の簡易化と複数ドメインのサポートを追加した。
- パススルートラフィックの可視化
- トラフィックがなぜ最適化されず、パススルーされるかを可視化。導入時のトラブル、設定ミス、アップグレードの必要などを調べるのに役立つ。
RiOS 6.0ではまさにユーザーの声に応えた微に入り細をうがつ改良が施され、使い勝手や高速化の効率がますます向上した。
Steelhead Mobile 3.0の強化点
一方、Steelhead MobileはクライアントPCに導入するアプリケーションで、拠点側のSteelheadアプライアンスとの通信を最適化する。今回発表されたSteelhead Mobile 3.0では、新プラットフォームへの対応、HTTP高速化の強化、ブランチワーミングの大きく3つの強化が行なわれた。
- プラットフォームサポートの強化
- Windows 7に対応し、新しいフィルタドライバを作成した。Windows Vistaと7の64ビットシステムをサポートした。ただし、XPの64ビット版はサポートしない。
- HTTP高速化
- RiOS 6.0と同様の技術で高速化機能を実現。モバイル環境でのWebアプリケーションのレスポンスを向上する
- ブランチワーミング
- モバイル環境とオフィスなど異なる環境においてもキャッシュを共有する機能。外出先のSteelhead Mobile搭載のPCをオフィスで持ち込む際に、従来はローカルのキャッシュは使わなかった。ブランチワーミングでは場所に関係なくキャッシュありの状態で高速化する。また、拠点やデータセンター側にあるSteelheadアプライアンスにより、データセグメントを事前配置する。
クラウド向けの仮想アプライアンスも登場
また、グローバルアライアンス ヴァイスプレジデントであるヴェヌーゴパル・パイ氏が、11月に発表されたグローバルでのクラウド戦略について説明した。ここではクラウドとユーザーとの通信で発生する遅延を最小化することを目的に、ハイパーバイザ上で動作する仮想アプライアンス「Virtual Steelhead」や、遠隔にあるストレージとの通信を最適化する「Cloud Storage Accelerator」が提供されることを言及した。
ヴェヌーゴパル氏は、Amazon EC2とのやりとりにおいて送受信時間が大幅に短縮するというデモンストレーションを披露。「Steelheadアプライアンスの機能が、今後はソフトウェアとしてクラウドで使ってもらえます。また、クラウドではVirtual Steelheadを採用することで、一貫したパフォーマンスをユーザーに提供できます」(ヴェヌーゴパル氏)と述べた。クラウド向けの製品は2010年に登場する予定となっている。