このページの本文へ

グローバル化とクラウドの時代に再評価!リバーベッドのWAN最適化 第1回

あらゆるアプリケーションを速くしてきたWAN最適化とは?

WAN最適化を極めたリバーベッドの「オレ流」を振り返る

2011年11月17日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 記事協力●リバーベッドテクノロジー

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

グローバル化やクラウドの時代を迎え、WAN最適化ソリューションが大きな注目を集めるようになった。本連載では、古くからWAN最適化専業ベンダーとして高い実績を誇るリバーベッドテクノロジー(以下、リバーベッド)の最新の取り組みを紹介する。

アプリケーションを高速化するWAN最適化の威力

 WAN最適化とは、WAN経由でのアプリケーションのレスポンスを向上させる製品や技術を指す。WAN最適化のソリューションを導入すると、WAN越しでのレスポンスがきわめて悪いファイル共有やWebアプリケーションなどが劇的に高速化される。エンドユーザーは、ロケーションや帯域を意識せずにアプリケーションを快適に利用できる。また、ネットワーク帯域を有効に活用できるので、回線のアップグレードも不要になる。

WAN経由でのパフォーマンス劣化など、ネットワーク遅延

 WAN最適化のソリューションが本格的に導入されたのは、今から約6年前の2005年頃だ。21世紀に入り、ブロードバンドが企業にも普及したことにより、データセンターのアプリケーションを本社や拠点からWAN経由で利用するという形態は珍しくなくなってきた。しかし、従来に比べてWANが広帯域になったにも関わらず、レスポンスは必ずしも向上しなかった。今までのネットワークアプリケーションが、あくまでLAN内での利用を前提とした仕組みやプロトコルを採用していたからだ。しかも、最近の業務アプリケーションはユーザーインターフェイスがリッチ化しているためデータ自体が重く、やりとりもリアルタイムに行なう。ネットワークの遅延は、ユーザーの使い勝手に大きな影響を及ぼすのだ。

 これに対してWAN最適化では、無駄の多いLANのプロトコルをWAN経由で使えるように変換したり、転送するデータを圧縮・キャッシュすることで、可能な限りWANにデータを流さないようにする。これにより、遠隔に設置されているサーバーのアプリケーションを、まるでLAN内のサーバーにあるような感覚で利用できるわけだ。

WAN最適化を突き進めるリバーベッド

 こうしたWAN最適化の第一人者がリバーベッドであることに異を唱えるユーザーはないだろう。リバーベッドの「Steelheadアプライアンス」では、RiOSというソフトウェアを用いることで、各レイヤにおいて送受信データを削減し、プロトコルの無駄を排除する。たとえば、データレイヤでは特許のSDR(Scalable Data Reference)という技術を用いて、いったん送ったデータは送受信しないようにし、送るデータに関しては圧縮をかけるという手法をとる。

WANの送受信データを減らすSteelheadアプライアンスのデータストリームライニング

 また、トランスポートレイヤではラウンドトリップで遅延を発生させるTCPにおいて、一度に送受信できるデータ量を動的に拡大させる。さらにアプリケーション個別の最適化も充実しており、細かいデータを数多く送受信するWindowsのファイル共有(CIFS)において、やりとりの回数自体を減らしてしまう高速化技術を持っている。

アプリケーションレイヤではプロトコルのやりとり自体を減らしてしまう

 Steelheadアプライアンスは国内でもすでにいくつもの大型事例を持っており、もっとも多いのがデータセンターへのサーバー統合の用途だ。たとえば、大手金融会社では250カ所の拠点に設置されていたファイルサーバーを統合するにあたって、各拠点にSteelheadアプライアンスを導入した。通常、CIFSによるファイル共有はWAN経由で使用するとパフォーマンスが大きく劣化するが、Steelheadアプライアンスの導入により、ファイルオープンや保存の時間が大幅に短縮したという。サーバー自体を減らし、WAN回線のアップデートを避けられたことで、コストも削減でき、まさに一石二鳥の効果を得られたわけだ。

ファイルサーバーの統合で各拠点にSteelheadアプライアンスを導入した大手金融会社

 また、海外拠点とのやりとりで利用されるケースも多い。もとより、国際回線は帯域も細く、遅延がきわめて大きいため、データ転送に時間がかかる。しかし、Steelheadアプライアンスを各拠点に設置し、圧縮やキャッシュなどで転送データを削減することで、狭い回線を有効活用することが可能になる。

 大手ベンダーがWAN最適化製品のベンダーの買収を進め、市場に参入して以降も、リバーベッドは専業ベンダーとして「オレ流」を貫いてきた。最新のRiOSやSteelheadアプライアンスを強化しつつ、さらにユニークな新製品をいくつも出している。

最新のSteelheadアプライアンス

 たとえば、Steelheadでは、アプライアンス自体に仮想化プラットフォームを載せ、拠点で必要な各種サービスを提供できるようにした「RSP(Riverbed Service Platform)」が提供されている。また、モバイルクライアント向けのWAN最適化ソリューション「Steelhead Mobile」もその一例だ。Steelhead Mobileは同社のWAN高速化の技術をクライアントPCに実装したもので、モバイル環境や小規模拠点からデータセンターへのアクセスを高速化するもの。特に日本では人気も高いという。その他、高遅延な衛星通信の最適化、高速なSSDの搭載、さらには仮想アプライアンス「Virtual Steelhead」などの取り組みが行なわれており、WAN高速化の技術をリードしているといえる。

レスポンスが命!仮想デスクトップも最適化

 最新の取り組みとして仮想デスクトップ(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)対応の強化を見ていこう。クライアントPCのメンテナンスを容易にし、セキュリティや耐障害性にも優れた仮想デスクトップは、Windows XPなどの入れ替えタイミングにあわせ、大きく普及を遂げる見込みとなっている。

 しかし、アプリケーションの実行をサーバー側で行ない、ネットワーク経由で画面転送を行なうため、レスポンスがエンドユーザーの使い勝手に大きな影響を与える。普段、デスクトップで普通に行なっている操作が大きく遅延すると、ユーザーのストレスはたまることになる。もちろん、シトリックスやヴイエムウェアのような仮想デスクトップの提供ベンダーも技術的に改良を加えているが、ネットワーク経由での最適化が必要な場合がある。

VDIでの高速化の効果

 これに対して、リバーベッドではWAN最適化の技術を用いて、仮想デスクトップのレスポンスを向上させる。まずシトリックスのリモートデスクトッププロトコルであるICAに関しては、ネイティブの圧縮や重複排除に比べて大きいデータ削減が可能なほか、ICAトラフィックをクラス分けできる。これにより、QoS機能や、TCPの効率的な利用により、アプリケーションのレスポンスを高め、帯域のアップグレードも不要になる。ヴイエムウェアのRDPやPCoIP(開発中)、マイクロソフトのRDPなどのプロトコルでも同様の効果を得ることができ、まさに仮想デスクトップを成功させる鍵となっている。

 次回は昨今、同社が力を入れるDRとクラウドのソリューションを紹介していく。

「Riverbed Performance Forum 2011」が開催!

リバーベッドテクノロジーの最新ソリューションを解説する「Riverbed Performance Forum 2011」が東京(12月9日)、大阪(12月13日)の2ヶ所で開催決定! 詳細および登録は「Riverbed Performance Forum 2011 -Tokyo-」(東京会場)「Riverbed Performance Forum 2011 -Osaka-」(大阪会場)を参照のこと。


カテゴリートップへ

この連載の記事