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読者の“声”が電子書籍を作る 角川歴彦氏×川上量生氏対談

2011年11月08日 20時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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テレビはもともと自由だった

―― テレビの話が出てきましたが、テレビとネットの違いというのはあると思いますか。

角川 サラリーマンが家に帰って18~21時に見るのがテレビですが、22時ころからテレビではなくネットの時間帯になってきていますよね。いちばんニコニコ動画の視聴率が高いのが23時くらいでしょう。

川上 テレビとネットの文化というより、テレビ的な“呪縛”をしている部分があると思うんですよ。いま「電波少年」や「北斗の拳」は放映が難しいことになってるじゃないですか。最初は自由だったから面白かったんですよ。テレビそのものに限界がきたわけじゃなく、制限ができたからなんだと思うんです。自主規制がよくないんです。ネットもそのうち同じ道をたどっていくことになりますよ。

角川 テレビはブロードバンドで、ネットはナローバンドという違いだけ。ネットなら多様なニーズに細かく答えられて、コンテンツの多様性を保てるなら、そんなに心配する必要がないと思うけど。

川上 「ユーザーが好きなものを見る」って理想の世界に見えるんですけど、好きなものがあるユーザーのほうが少ないんだと思うんですよ。“与えられたい”。その与えられたいものをつくるのがクリエイターだったと思うんです。

「好きなものを見るって理想の世界に見えるんですけど、好きなものがあるユーザーの方が少ないんだと思うんですよ」と川上氏


―― いまはクリエイターも単位が小さくなっていて、個人に近くなっています。気になるのは、二コ動から直接お金が入るような仕組みができるのかというところなんですが。

川上 やっぱり個人の人(作家)たちが生活できる環境はつくりたいんですが、それは収入の面だけじゃなく制作環境、自分一人だけの力で著作権も考慮しつつ、どう作品を作れるかの両面が重要だと思っています。

角川 19世紀に成立していたのは“プロの著作権法”だったんですよね。だけど、いま生まれているのはCGMの著作権。その2つでどう整合性をとっていくかだと思います。



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