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レコメンデーションと行動ターゲティングの効果的運用

2013年11月06日 11時00分更新

文●環

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 ユーザーの行動履歴や購買履歴などのログデータを分析し、各ユーザーに適したコンテンツを自動的に表示する技術が注目されています。代表的なのが、「レコメンデーション」と「行動ターゲティング」です。

購買点数や単価アップに効くレコメンデーション

 レコメンデーションとは、ECサイトなどでユーザーの購買履歴や行動履歴から好みの傾向を分析し、おすすめ商品を表示するサービスや技術のことです。Amazon.co.jpやZOZOTOWNなどのECサイトで、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」といった表示を見たことがあるでしょう。

 一般的なECサイトでは、検索やナビゲーションから欲しい商品を自分で探す必要がありますが、レコメンデーションを導入しているECサイトでは、自分に合った商品情報が自動的に表示されます。そのため、ユーザーにとっては欲しい商品を探す手間が省け、サイト運営者にとっては購買点数や購買単価のアップ(※1クロスセル、※2アップセル)を図れるメリットがあります。

広告を効率化する行動ターゲティング

 行動ターゲティングとは、過去の行動履歴(訪問サイトや検索キーワード)からユーザーをグループ化し、グループごとにマッチした広告を表示する技術です。代表的な広告サービスとしては「Yahoo! インタレストマッチ」があります。

 たとえば、ヨーロッパを中心にサッカー観戦パッケージツアーを販売している旅行会社Aが、ポータルサイトへ出稿し、自社サイトへ誘導したいとしましょう。従来のバナー広告であれば掲載する位置やページしか指定できないため、サッカーやヨーロッパ旅行に関心のないユーザーにも広告が表示されていました。

 これに対して行動ターゲティング広告では、過去に「旅行サイト」「サッカーサイト」を閲覧し、キーワード「イタリア」での検索履歴があるユーザーがポータルサイトを訪れたときにだけ広告を表示する、といった表示条件を指定できます。確度の高いユーザーにだけ広告を表示するため、従来の広告よりもコンバージョンにつながりやすい、というわけです。

特徴を把握して効果的な運用を

 レコメンデーションや行動ターゲティングは、大量のログデータを活用して成果につなげる仕組みであり、効果的な運用のためには各ツールやサービスの特徴を把握する必要があります。特にレコメンデーションは、データマイニングやテキストマイニングなどの知識とノウハウが必要です。自社に実績がない場合は、外部の専門家に相談しながら導入を勧めるとよいでしょう。

※1クロスセル 商品の購入を検討している客に対し、関連する商品や、組み合わせることで割引になる商品の購入を勧める販売方法。ハンバーガーを注文した客に、サイドメニューを勧めるなど。

※2アップセル 商品の購入を考えている客に対し、希望よりも上位で高い商品を勧める販売方法。Mサイズのドリンクを注文した客にLサイズを勧めるなど。

著者:株式会社 環

Web解析を軸に2000年創業。「誰もがチャンスをつかめる社会を創る」を理念に地方中小企業に対しアクセス解析ツール「シビラ」とWeb解析コンサルティング、Webサイトの改善やリスティングの最適化を提案している。楽天ビジネスアワードを4回受賞。JWDAウェブ解析&リサーチ委員会委員長。最近は「JWDAウェブ解析士」の運営支援も行なっている。現在Web解析に関心がある人材を募集中!

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