せっかく案件を受注しても赤字になっては意味がありません。そこで、適切な稼働で案件を遂行し、適切な利益を得るために必要不可欠なのが予算管理です。
予算管理は、プロジェクトが進行する前の実行予算の作成と、実際にプロジェクトが進行してからの実績管理の2つに分かれます。実行予算は主にプロデューサーが、また実績管理はディレクターが担当するのが一般的です。
実行予算のポイント
実行予算の計画を立てるには、受注時に作成したものとは別の、より正確な見積もりが必要になります。受注時にクライアントに提出する見積もりは、分かりやすさを優先して、品目ベースつまりページ単価、機能単価で計算することが多く、正確な利益を算出するためのものとしては不十分だからです。
実際の利益は、スタッフが何時間働いて、どの程度工数がかかるかを計算した、工数ベースの内部見積もりを作成することで正確な算出が可能になります。スタッフの稼働や工数は、リソースヒストグラム(WBS各稼働に対し、必要な人員の数を記載した表)から算出します。
また、内部見積もりの作成時には、受注金額から利益と経費(間接費など)を引いて、人員の工数を割り当てる必要があります。たとえば、受注額の25%が粗利という規定や指標が社内にあれば、受注額から25%引いた金額に、1日5万円の人を○○日、1日3万円の人を○○日というように割り当てていきます。
粗利の指標がない場合は適切な利益確保のために、原価の算定から実施します。具体的には、製造原価と粗利(営業経費と管理経費と営業利益)など、価格を構成するさまざまな費用を確認して、原価を算定します。
個々のプロジェクトのための費用ではない間接原価(社員の維持費用など)や販売管理費は、会社の経営に必要な費用として、プロジェクトごと、部署ごとで案分の仕方を決めて加算します。原価の策定は、会社経営にかかるさまざまな費用も加味する必要がありますので、経理担当などに算定してもらうとよいでしょう。
実績管理のポイント
予算の実績管理で重要なのは、各制作フェーズが完了したタイミング、あるいは定期的に実際の稼働を集計し、実行予算と差異がないかを確認することです。もし稼働オーバーなどで見直しが必要な場合には、以降の実行予算を速やかに見直します。
多忙な業務の中で予算管理の導入・維持は大変かもしれません。しかし、適切な予算管理により、適切な利益の確保が可能になります。さらに、正しい予算管理を続けていくことで、コスト意識が生まれ、利益を出す体質が作られていくのです。
著者:エレクス株式会社
“ソフトウェアにおける真のサービスを提供する”ことを第一の目的とし、情報技術に特化した会社として1993年に設立。システム開発、パッケージソフトウェア開発、Webサイトデザイン構築・運用業務から、最近はスマートフォン・タブレットアプリやARコンテンツ開発を展開。今後は、“CSP(Cloud Solution Provider)”として、クラウドを活用してお客様のニーズに最適なソリューションを提供し、さらなる情報化社会の発展に貢献します。