データベースとは、大量の情報を簡単に検索、加工できるように整理して蓄積する仕組みのことです。多くのWebシステムでは、データをサーバー上にあるデータベースに保管し、ユーザーの要求などに応じてデータの一部を取り出して表示しています。
たとえば、宿泊予約サイトが、ユーザーが指定した日付から空室状況を検索したり、料金別に並び変えたりできるのは、客室の予約情報がデータベースに登録されているからです。データベースを利用していなければ、客室や日付ごとに空室情報をそれぞれ書き換えなければなりませんし、料金別に並び変えるような見せ方もできません。
Webサイトを更新するためのCMSも、テキストや画像などをデータベースに保管してページを動的に生成、表示する仕組みによって成り立っています。
データベースの主流はリレーショナルデータベース
データベースで現在主流となっているのが、リレーショナルデータベースです。リレーショナルデータベースは、行と列からなる表の形(テーブル)で構成される形式で、複数のテーブル同士を関連付けて管理することから、リレーショナル(関係性)データベースと呼ばれています。リレーショナルデータベースでは、SQL(Structured Query Language)という独自の言語を使ってデータを登録したり、取り出したりします。
リレーショナルデータベースを管理するためのソフトはRDBMS(Relational Database Management System)と呼ばれ、Webシステムではオープンソースの「MySQL」と「PostgreSQL」がよく使われます。MySQLやPostgresSQLは、比較的安価なレンタルサーバーでも標準で利用できることが多く、広く普及しています。
一方、大規模サイトや信頼性が求められる業務システムでは、マイクロソフトの「SQL Server」シリーズや、オラクルの「Oracle Database」シリーズなどの商用RDBMSがよく使われます。
データベースの利用でもコストを考慮して
データベースは、大量のデータを扱うWebシステムでは欠かせない仕組みです。また、一般的Webサイトでも、データベースを利用することでページ制作コストを抑え、タイムリーな更新ができるようになります。
一方でデータベースの利用には、開発や運用のコストが発生します。単に「Webページの一部を変更したい」だけであれば、テキストデータを読み込むシステムで済む場合もありますし、更新頻度が低ければHTMLを修正するほうが早いでしょう。Webディレクターは、クライアントからの要望をエンジニアと共有して、データベースの利用を検討しましょう。
著者:水野良昭
JWDA(一般社団法人日本ウェブデザイナーズ協会)理事。1968年東京都生まれ。商社7年勤務後、シリコンバレーに渡米。帰国後、自治体WEBサイトを構築。その後ISPにてグループウェアASP商品化。第13回 KSPベンチャー・ビジネススクール 準優秀賞受賞。同ビジネスプランにて、オンラインデスクトップ株式会社を設立。