システムフローとは、システムが実行する処理の流れ(フロー)を図式化したものです。システムは、ユーザーが入力した情報を受け取ったり、定期的に実行するようにセットされたタイミングが来たりすると、何らかの処理を始めます。処理が始まってから、最終的な処理が終わるまでの一連の流れをまとめたものがシステムフローです。
システムフローは独立した文書として作成することもありますが、多くはシステム設計書やマニュアルなどのドキュメントに盛り込みます。
システムフローの作成目的と意義
システムフローの目的は、プロジェクトを進めるにあたって、Webシステムの処理の内容をクライアントや開発チームなどのステークホルダーで共有することにあります。
システムフローで処理の流れを視覚的に把握できれば、これから開発するシステムが想定した仕様どおりになっているか、自動処理する内容に抜けや漏れがないかを確認しやすくなります。システムフローによって、開発側のSEやプログラマーはどのようなプログラムを作ればよいのかが整理できますし、クライアント側の担当者は要望がきちんと反映されているか、ヒアリング時の説明から漏れている例外処理などがないかを確認できます。
開発側、クライアント側で開発するシステムの仕様を最終的にすり合わせるのが、システムフローの大きな役割だと言えるでしょう。
システムフローの見方
具体的なシステムフローは、「□」「◇」と矢印、簡単な説明などで構成されます。フロー図に出てくる「□」は一般的な処理の内容を、「◇」は条件によって以降の処理が分岐する内容を記述します。
入力された情報や状況に応じてプログラムで処理を判断するため、フローはいろいろな処理のパターンを想定して描きます。たとえば、ユーザーに情報を入力してもらう場合、次の処理へ進むのか、再入力を求める画面を表示するのかなど、条件を考えながら作成します。
Webディレクターにとってのシステムフロー
実際のシステムフローの作成は、多くの場合、WebディレクターではなくSEやプログラマーが担当します。ただし、システムの全体を把握するために、Webディレクターもシステムフローの内容をきちんと理解しておきたいものです。
また、Webデザイナーなどに対して必要な画面を説明する際などにも、システムフローを利用することがあります。成果物の1つとしてしっかり取り組みましょう。
著者:水野良昭
JWDA(一般社団法人日本ウェブデザイナーズ協会)理事。1968年東京都生まれ。商社7年勤務後、シリコンバレーに渡米。帰国後、自治体WEBサイトを構築。その後ISPにてグループウェアASP商品化。第13回 KSPベンチャー・ビジネススクール 準優秀賞受賞。同ビジネスプランにて、オンラインデスクトップ株式会社を設立。