このページの本文へ

PVやUUは無視せよ!アクセス解析の最新手法とは? (2/2)

2011年08月01日 18時00分更新

文●ロフトワーク、Web Professional編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

関係者との調整には「図」を使え

君塚:Webマスターの能力がどんなに高くても、企業のWebサイトを運営するには多くの関係者との調整が必要ですよね。しかも関係者が多いほどWebリテラシーの違いが大きくなります。Webサイトの戦略や知るべきことがわかったとしても、どうすれば関係者で戦略を共有できるのか、その手法に困っているWebマスターも多いのではないでしょうか。

清水:「関係者を集めたワークショップ」は有効な手法だと思います。一方的に説明したり、議論したりするのではなく、Webサイトの目的やユーザー、機能、コンテンツといった部品が全体像でどう位置づけられるかを関係者それぞれで図にするのです。言葉では対立的でも図にするとほとんど同じだったり、同じ言葉を別の意味で使っていたりすることが図にすると明解になります。位置や大きさ、色、形、矢印の向きといった各関係者の理解を図にし、それぞれの理解に違いがあることをお互いに確認し、違うことを前提に議論することで共通の理解に近づけます

コーポレートサイトにKPIは設定できるか?

君塚:資料請求やECサイトであれば目的ははっきりしていますし、見込み客やお客様というユーザーも明確です。ショッピングカートのような機能、商品説明のようなコンテンツもはっきりしていて、コンバージョンは資料請求数、販売数で明解です。また、コンバージョンに至るプロセスをKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)として評価するにしても、ランディングページや商品キーワードでの訪問数のように簡単に指標化できます。では、コーポレートサイトはどうなんでしょうか。Webマスターが戦略を考えたり関係者で図を作ったりするにしても、コーポレートサイトのようにコンバージョンが明確でないサイトの場合はどうすればいいのかわかりません。

清水:資料請求数や販売数だけがコンバージョンやKPIではありません。コーポレートサイトには企業のメッセージを社会に伝えるという存在意義があってコンテンツを整備するわけですから、企業のメッセージが社会にどれだけ届いたかを指標として知るにはどうしたらいいのかを考えるのです。

 たとえば、幅広くサービスを提供している企業が認知を高めたい目的でコーポレートサイトを運営しているなら「ひとりひとりの訪問者が1年間に閲覧するサービスカテゴリ数の平均」をKPIにすればいいでしょう。100のカテゴリーそれぞれにページがあって、PVやUUといった指標ではまんべんなくアクセスされているように見えても、ひとりひとりのユーザーは平均で年間1.2のカテゴリーのページしか見ていなかったとしたら、その企業がサービスを幅広く提供していることはユーザーに伝わっていません。そういうギャップを見つけて「関連サービスへの誘導」を目的のひとつとして設定し、そのために関連リンクの設置や訪問時のキーワードでWebページの見た目を変えたりする施策があり、その結果、KPIが上がったり下がったりすることで、施策を定量的に評価できるようになります。

 「コンバージョンがない」といわれるコーポレートサイトであっても、何をしたいかの「コンセプト」(想い)を洗い出すことで、KPIを設定できます。IR情報に力を入れているのであれば、投資家にもっと投資してほしい、などの理由があるはずです。投資を決断するために、どんな情報が必要とされているのか? サイト上でユーザーがどう行動した場合に「効果があった」(=投資が増えそう)と判断できるのか? 重要なのは、サイトのゴールを達成するための施策を数値的に評価できるようにすることです。

コンテンツの整理や関係者の調整に使える新手法

君塚:非公開で始めたアクセス解析研究会ですが、8月4日にはその内容を徹底公開するセミナーを開催します。講師となる清水さんはどんなお話を予定していますか?

清水:アクセス解析研究会では、サイトの戦略を「コンセプトダイアグラム」として図にし、そこからKPIを設定したり、設定したKPIをアクセス解析の手法で取り出したりする手法をお話しするつもりです。「やってみよう」と思えたらすぐに実践できるように、理論から手法までなるべく具体的にお話したいです。

君塚:「コンセプトダイアグラム」は名前が難しそうですが、研究会の皆さんは楽しそうに作っていましたよね。図を作る、という目的でふだんはぎこちない上司と部下の会話がはずみますし、Web戦略を話し合ったり、コンテンツを整理したりすることにも利用できます。A4の紙1枚でサイトを説明できるので関係者との調整も簡単になります。まだ席に少し余裕がありますので、Web Professionalをご覧の皆さんもぜひ参加してください!


清水氏登壇。アクセス解析研究会の内容を徹底公開!

ここが違った!Webで成果を出すアクセス解析セミナー ~ 新解析手法と先端企業のケーススタディ

日時
2011年08月04日(木) 14:00~17:30(13:30開場)
主催
株式会社ロフトワーク
会場
スタジアムプレイス青山 ビジョンホール
定員
130名
参加費
無料
対象
  • 企業のマーケティング・広報担当者・マネージャー
  • 経営企画担当者

登壇者

清水誠(しみず・まこと)
1995年国際基督教大学卒。Webアナリスト/実践者。1995~2004年まで凸版印刷・Scient・RazorfishにてWebプロデュース・IA・UI設計の開拓とコンサルティングに従事した後、事業会社側へ転身。ビジネス・テクノロジー・デザインの融合によるイノベーションを実現すべく、日系ベンチャーの情報システム部門で開発フレームワーク導入とプロセス改善を、外資消費財企業のマーケティングコミュニケーション部門ではIT(CMS、PDFワークフロー)を活用した改善を、楽天ではアクセス解析の全社導入と推進をリードした。2011年よりファッションECサイトGILTのCRMを担当。アクセス解析を中心に各種IT関連媒体での執筆や、講演実績も豊富。
君塚 美香(きみつか・みか)
株式会社ロフトワーク マーケティング担当
ソフトウェアハウスにてSE、SIの経験を積んだ後、2003年に現KDDI ウェブコミュニケーションズに入社し、ゼネラルマネージャーとして20名のマーケティングチームを統括。現在は、ロフトワークのマーケティング部門にて、これまでの多岐にわたる職種経験を活かし、パートナーとのアライアンス業務のほか、ビジネスセミナーの企画運営、BtoC案件のプランニングやプロデュースなどゼネラリストとして活動中。


※申込みは、ロフトワークのセミナー案内ページから。

前へ 1 2 次へ

Web Professionalトップへ

この記事の編集者は以下の記事をオススメしています