加工精度の高さに驚嘆、技術者のこだわりが満載の筺体
実機では、エアフローへのこだわりが随所に感じられた。例えばフロント部分。ここはハニカム構造となり、六角形の穴で敷き詰められている。
通常の通気口というと、円形またはスリッドが多いが、六角形の穴は静粛性の観点で有効だ。また、単に穴を開けただけでなく、吸気口のサイズを外側から内側にかけて絞ることで、内部に取り込む空気の速度を上げている点も味噌。比較的冷却性の高いHP Z600と比較した場合でもマイナス5度程度、それ以外のメーカーとの比較では8度ほど筺体内部の温度を低く抑えることができているという。
静粛性に関しては待機時で約24dB。ケースファンには、ThinkPadでもアピールされているフクロウ羽根ファン(OwlBlade)を採用。大型のファンをゆっくりと回す仕組みだ。ファン表面に特殊な加工を施したり、フローティング構造で(浮かせて)取りつけたり、制振性の高いゴムブッシュを利用したり……と共振による不快な騒音が発生する要因をつぶしている。
このあたりは、以前取材したThinkServerにも共通する部分だが(関連記事)、細かな工夫が盛り込まれているのだ。
また加工精度も非常に高く、プラスチックの外装と金属製フレームがピッタリと合わせてある。ケーブルの取り付け方も、空気の流れを阻害しないよう配慮されていたりと省スペース筺体に発熱量の高いCPUを搭載するための工夫が随所から感じさせられた。
もちろん筺体の扱いやすさにも配慮。パーツの交換だけでなく、移動のしやすさにもメリットのある筺体だ。実はワークステーションは移動がする機会が意外に多い。デジタルコンテンツ制作やCADなどではプロジェクト単位で適切な人数を割り当てて、グループ作業するケースが多く、機器はその都度、融通される。
レノボのワークステーションはIBM時代から継承した米国の部隊が担当しているそうだが、実直で職人肌な開発陣の気質を製品から垣間見ることができた。