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F5渾身のシャーシ型モデルに求めやすいミッドレンジモデルが追加

ブレード足すだけで拡張OK!VIPRIONに新モデル登場

2011年06月03日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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6月2日、F5ネットワークスはシャーシ型のADC(Applicaiton Delivery Controller)「VIPRION」の新製品と仮想化技術を投入した。ブレード挿すだけで拡張完了という使いやすさのほか、コストパフォーマンスや信頼性も売りだという。

簡単に拡張できる
コストパフォーマンス、品質も良好!

 発表会の冒頭、挨拶に立ったF5ネットワークスの長崎忠雄氏は、3・11の大震災以降に起こってきたIT導入に大きな変化が生じていると説明した。「DRや事業継続性、在宅勤務など、今まで考えてはいたが、導入まで至らなかったソリューションを本格的に導入する必要が出てきた」(長崎氏)。その一方で、ITインフラに柔軟性が必要という普遍的な課題についても言及。同社がデバイスとサーバーの間でトラフィックを効率的にさばくための「ストラテジック・ポイント・オブ・コントロール」の導入を訴えた。こうしたトラフィック管理の要望に応えるシャーシ型のADCがVIPRIONになる。

F5ネットワークスジャパン 代表取締役社長 長崎忠雄氏

 2008年に市場に投入されたVIPRIONは、ボックス型のBIG-IPに搭載されたソフトウェア「TMOS」を搭載しつつ、拡張性や信頼性の高いシャーシ型の筐体を採用したプラットフォーム。今回発表された「VIPRION 2400」は4枚のブレードをシャーシに収納できる小型のシャーシを採用したミッドレンジ機で、従来機種である「VIPRION 4400」(製品名を改称)に対して、より価格面での魅力を高めている。

4枚のブレードをシャーシに収納できる小型のシャーシを採用したVIPRION 2400

 製品について説明を行なったシニアプロダクトマーケティングマネージャの帆士氏は、現在のADCを取り巻く環境の変化について言及。クラウドとコスト削減という大きなトレンドにプラスし、スマートフォンの急増、データセンターへの集中化、SNSやクーポンサイトなどの新サービスの台頭などの事態を挙げ、これに対するインフラ強化が必要性になるという。しかし、既存のADCの拡張は、需要予想や設計、調整、ケーブリングなどに手間がかかり、デバイス自体が増加することから管理の負荷も大きくなると指摘する。

F5ネットワークスジャパン シニアプロダクトマーケティングマネージャ 帆士敏博氏

 これに対してVIPRIONの最大の特徴はブレードを追加するだけで、拡張できる点。ブレードを追加したら、あとはOSイメージや設定をコピーされる。Super VIPという仮想IP技術を用いることでDNSの変更も不要で、一切止めずにサービスを拡張。挿したブレードの分だけ、性能がリニアに向上するという。

 これを可能にしているのが、ブレードの枚数に応じて処理能力を向上できるF5 CMP(Clustered Multi-Processing)というクラスタ技術だ。複数CPUを並列処理するSMPと違い、シャーシ全体で処理を効率化できるよう、各ブレード同士が高速にデータ転送できるよう設計された高速ブリッジやトラフィックを効率的に分散するディスアグリゲータなどを組み合わせるなどの工夫で、シャーシ全体の能力をフル活用。これにより、ブレードの数に応じた処理能力の向上が実現したという。実際、ブレード1枚で40GbpsだったL4スループットは、4枚にするとそのまま4倍の160Gbpsに拡大するという統計も明らかにされ、ブレードの枚数で並列的に高速化できることがわかった。

シャーシ全体でトラフィック処理を実行するVIPRION 2400のスペック

 帆士氏は、VIPRION 2400のコストパフォーマンスのよさにも言及した。絶対的な価格として考えるとシャーシが170万円、ブレードが1020万円(ともに希望小売価格)ということで、安価ではないのだが、L4のスループット1Gbpsに必要なコストで考えると、エントリのBIG-IP 1600に比べて10倍、既存のVIPRION 4400に比べて4.6倍のコストパフォーマンスを実現できているという。

スループット単価で調べるとVIPRIONのコストパフォーマンスは高い

 また、信頼性や品質にもこだわった。そもそもブレードというアーキテクチャ自体が、きわめて高い信頼性と可用性を実現する構造である。障害にも強く、ダウンタイムも極力ゼロに抑えられる。さらにVIPRION 2400では、ADCとしては初めて電源の変換効率の高さを表す80PLUS GOLDの認証を受けたという。

仮想ADCを構成できるvCMP

 続けて、帆士氏はCMPの仮想版であるvCMPについても説明した。vCMPはVIPRION上において、最大16個の仮想ADCを構築できるというテクノロジーで、リソースのオンデマンド拡張とADCの独立性を確保を実現できる。VIPRIONの4400/2400のハードウェア、TMOSハイパーバイザなどの構成で利用可能な機能だ。

最大16個の仮想ADCを構築できるvCMPの概要

 vCMP登場の背景には、会社や部門などでADCのようなデバイスを共用する場合の問題点があるという。ADCを共用すればコスト面で大きなメリットを得られるが、障害時でも他に波及することはなく、パフォーマンスが確保できない、運用管理が困難といった課題も出てくる。これに対してvCMPによって仮想ADCを作れば、いずれかの仮想ADCが壊れても、障害が他に波及しない。もちろん、パフォーマンスも確保でき、運用管理も仮想ADCごとに独立で行なえ、異なるバーションのBIG-IPを動作させることも可能だ。

 vCMPの提供は2011年8月の予定で、4個分のインスタンス、16個分のインスタンスという2つのライセンスが用意される。

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