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ここでしか言えない話が満載のファンの集い

田中社長がやっぱり暴走!さくらVPSのゆうべに潜入

2011年05月31日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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5月26日、さくらインターネットは「さくらVPSのゆうべ」と題したユーザー向けイベントを開催した。ファンの集いのような和気あいあいな雰囲気で、「外に出せないですけど……」という話が飛びまくっていた。イベントの様子をレポートする。

VPSはやらない!をちゃぶ台返しした理由

 「さくらVPSのゆうべ」は、2010年9月に開始したさくらVPSの契約者数が1万件を超えたことを感謝するために行なわれたイベント。50人程度と小規模ながら、「IEを使っている人が3割しかいない」(さくらインターネット調べ)というヘビーなさくらVPSユーザーが集合したようで、非公開情報やユーザーの本音が飛び交うユニークなイベントとなっていた。

ヘビーユーザーが一堂に会した「さくらVPSのゆうべ」

 イベントの冒頭、さくらインターネット社長の田中邦裕氏は、「劣化物理サーバーのようなVPSはやらない」というポリシーを覆し、さくらのVPSを導入した理由を語った。

 すでにこの経緯は一部記事になっているが、表向きの理由としては仮想化技術が進展したことが挙げられた。CPUの仮想化支援技術が搭載され、サーバーに大量のメモリが積めるようになり、I/O面でも高いパフォーマンスが実現できるようになったことが要因だ。一方で、裏の理由としてはVPSの使い勝手が予想以上によかったということがあったという。2009年末に田中社長が個人ではじめた、とあるエイプリルフールネタのツールが想定外の人気を博し、利用していたサーバーで追いつかなくなったことがあった。そこで、田中氏が他社のVPSを使ったところ実に簡単にサーバーが利用でき、「VPSなんかやらないと言った半年後に、仮想サーバーの使い勝手に感動した。レンタルサーバーの限界を痛感した」(田中氏)とのこと。さらにさくらインターネットをやめて、海外のLinode.comのようなVPSに移ったというブログの記事を読んだことも裏の理由だったという。

 こうした心境の変化から、さくらインターネットはレンタルサーバー中心の戦略を、VPSやクラウドまで展開する方向に大きく舵を切る。そして、機能、拡張性、性能、安定性、低コストのうち、機能と拡張性に目をつぶって開発されたのが、2010年9月に開始したのが「さくらのVPS」になる。「最初からすべてを追い求めるのはやめた。ただ、物理サーバーを目の前で扱っているような使いやすさは実装した」とのことで、5月時点では1万5000件を突破。パフォーマンスの高さや低廉な価格が受けて、好調に契約者数を増やしていることを明らかにした。プランは512MBメモリの「さくらのVPS 512」が一番人気だが、上位プランが2割を占めているという。

利用者は約1万5000件を突破し、2割以上が上位プランだという

 途中、「(競合である)Amazon Web Servicesのイベントでは、なぜか私が基調講演をやって、Amazon万歳!みたいな乾杯の音頭までとらせられた」「私が仮想サーバーはやらないといっていた時期でも、実は一部のエンジニアが『隠れキリシタン』としてKVMをインストールしていじっていた」などの話も飛び出し、会場の笑いを誘っていた。

「さくらのクラウド」のコンパネが披露

 後半はさくらVPSの開発担当者が質問に応えるコーナーや、さくらVPSのユーザー像や他社とのパフォーマンス比較を披露するコーナーも用意された。会場では「田中社長がXenを押していたのになぜKVMを採用したのか」「なぜ(メモリ量)1GBと2GBの間になぜ1.5GBのサービスを設けたのか」といったモデレーターの質問や、「試用期間中の帯域制限はなんとかならないのか?」「速度が低下する事態をどのように解決するのか?」といったユーザーの声に対して開発担当者が時折答えに窮しながら、対応していた。

 また、ユーザーの質問に答える形で、田中氏が現在開発中の「さくらのクラウド」のコントロールパネルを披露した。「披露する予定はなかったんですが……」(田中氏)といっているわりには、メニュー構造やスペックに近い部分まで公開され、7~8月頃というサービスインに向けて具体的に近づけている様子が見て取れた。ネタが用意でき次第、こうしたイベントは、今後も続けて行く予定だという。オープンな(?)さくらインターネットの社風や田中社長のエンジニア気質が窺える楽しいイベントであった。

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