一通り保存地区を巡ったあとは、捜索範囲を少し広げて、竹原市街地やその周辺にあるスポットを歩いてみた。なお「たまゆら」の登場ポイントは、隣接する市町村を含め非常に広範囲にわたっている。それを一度にすべて回るのは時間的に難しいので、今回は竹原駅からレンタサイクルで向かえる場所に絞ってみることにした。
ここまで巡り歩いたところで、時刻はもう午後6時過ぎ。淡い光に照らし出された夜の街並みも風情があるが、それはまたの機会にしよう。「たまゆら」では季節ごとの竹原の風景も登場するので、そのときに合わせて夜の街並みも取材してみたいと思う。黄金色に染まった瀬戸内の穏やかな海をあとに、筆者は竹原の街を離れたのだった。
この「たまゆら」という作品で珍しいのは、その舞台が竹原だとはっきり表明しているところ。大抵の作品では、舞台のモチーフがどこなのかを伏せた上で物語が展開していくが、この「たまゆら」では当初から実在の地名をふんだんに登場させて、物語の舞台が竹原であることを宣言しているのだ。そこにはアニメを通じてこの街を応援していきたいという製作陣の想いが垣間見えるが、それゆえに作中で描かれる竹原の情景は、美しくノスタルジックな雰囲気にあふれている。
一度も見たことがないのに、どこか懐かしい。作中で登場人物の一人が言ったように、この作品で描かれている竹原やその周辺の風景はどのシーンを切り抜いても叙情的で、旅人の心をどこまでもくすぐってくれる。白塗りの壁と飴色の格子窓が作り出す昔ながらの街並みと、瀬戸内の青い海が織りなす情景は、たとえアニメの聖地でなくとも「行ってみたい」と思える魅力にあふれていた。
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