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アニメファンならぜひ行きたい!聖地巡礼ツアー 第17回

アキバ系年末年始の過ごし方「関東萌え神社仏閣制覇の旅」

2012年01月25日 18時00分更新

文● 中村信博 ●写真/うえのふみお

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今年のアキバ系初詣はひと味違うぜ!

 年の瀬の風物詩となっている、冬コミこと冬の「コミックマーケット」。今回の81回目は、3日間の総入場者数が約50万人。過去最高を記録した去年の冬より約2万人減だったようだ。しかし、ここにきて2万人ばかり減ろうとも、筆者にはまったく実感が無かった。なぜなら、筆者のサークルジャンルはそもそもニッチなメカ・ミリタリー、しかも今回は人手の少ない2日目の配置だったからだっ!

 いつもと変わらないまったりした冬コミを楽しんだ筆者だったが、冬コミ期間中ずっと頭の中を巡っていた悩みがあった。おかげで目の前に並んでいた頒布品が減っていることに気付かず、完売札を下げるのが遅れて、お客さんにご迷惑をかけてしまったくらいだ。そんな筆者の頭を悩ませていた事とは……。

年末年始の企画、今年はどこ行こう?

 アキバ系人間のあるべき年の瀬の姿と題して、毎年ASCII.jpにて筆者たちの年末年始の珍道中を紹介しているが、今年はコミケ当日になっても最終的な目的地が決まらなかったのである。ここ2年は聖地として名高い埼玉の鷲宮神社で、待機列の先頭で初詣をキメるという誰得な挑戦を頑張っていた筆者だったが、さすがに3年連続で同じ企画となると読者は面白くあるまい。筆者も飽きたし。

 携帯で関東各地の年末年始の観光情報を漁っていたら、ひとつの町の情報が目に留まった。先日の聖地探訪記事で(関連記事)訪れた埼玉県秩父市、そこの重要スポットである定林寺にて、除夜の鐘突き&カウントダウンイベントが開かれるというではないか。これと萌えキャラの「あしかがひめたま」で有名な、足利からの初日の出を組み合わせたなら、企画的にも面白そうだ!

冬コミ後の初詣は
「あの花」の秩父からスタート

 今年は秩父・定林寺からスタートする、アキバ系年末年始関東巡礼の旅。まさか、このドライブで想像を絶する苦労が待っているとは思いもよらないまま、旅は冬コミ3日目が終わった東京・有明より始まる。

 冬コミ3日目。閉会の拍手と共に会場を出た筆者は、同行者と合流して首都高の台場ICから高速へ。地方在住者の悲しさか、首都高の複雑な接続に混乱しつつも、美女木ジャンクションから東京外環道、さらに大泉ジャンクションから関越道へと少し大回りのルートを取った。もしかすると都心を突っ切るほうが早いかもしれないが、大晦日で都心が混み合っている事を考えた上でのルート選択だ。

冬コミが終わり、夕暮れが間近にせまるなかを青海の駐車場へと急ぐ。今日はこれからこそが本番、コミケ4日目だ

地方在住者の筆者にとってレインボーブリッジを渡ることは1年に1度あるかないかの体験。このあと、狭い、合流短い、カーブきつい、と三重苦の首都高に苦しめられることに

 途中、高坂サービスエリアで少し早めの夕食をとった後、花園インターチェンジから国道140号線へ。皆野寄居有料道路でショートカットして秩父に至るルートは、10月の秩父探訪の時とは正反対の方向からのアプローチとなる。あの時は甲府から山を越えて、南西方向から秩父へと入ったのだ。まさか2ヵ月後に、まったく逆の方向から秩父へと来ることになるとは。

 観光都市として普段は賑わいを見せている秩父も、大晦日はさすがに人通りが少ない。今日は早仕舞いしたのか開いているお店もまばらで、以前訪れた時より明るさが2割減といった感じ。ひっそりと静まりかえった町の中で、秩父神社の門前だけがきらびやかな光に包まれていた。

年末年始、秩父神社の前にある妙見の森公園では「まちなみイルミネーション」と題して、色とりどりのLED電飾が飾り付けられていた

地元の企業が寄贈した「あの花」イルミネーションが。側面のめんまは、身長147cmという設定どおりの等身大だそう

 なんとなくお風呂屋さんが多いイメージのある秩父だけど、実は秩父の街中にある銭湯は2軒だけ。洗い場と湯船がひとつきりの、昔ながらの銭湯でぽっかぽかに身体を温めて、じゅうぶんな重ね着で防寒対策をしてから、本日最初の目的地である定林寺に向かった。時刻は午後9時過ぎ、臨時駐車場から定林寺への道すがら、街明かりの中からかすかに紅白の歌声が響いていた。

途中いくつかの場所で貼りだされていた、定林寺鐘突きイベントの告知ポスター。手作り感のあるポスターだけど、それゆえに地元の人々に愛される作品であることが判る

たどり着いた定林寺は、まだ人の姿がまばら。暗闇の中に浮かび上がった観音堂は、昼間の姿とはまた違った雰囲気

 たどり着いた定林寺の境内では焚火の炎がゆれ、除夜の鐘を待つ何人かの人が暖を取っていた。この日ばかりはお堂の中にも灯りがともされていて、終い参りをする地元の人たちがぽつぽつと訪れている。昨年まで訪れていた賑やかな鷲宮神社とは違って、こちらはしっとりと落ち着いた年越しという風情だ。

除夜の鐘をひかえた定林寺の梵鐘。白熱灯にぼんやりと浮かび上がった側面の観世音菩薩が何ともいえない風情をかもし出している

正月を前に飾り立てられた定林寺の観音堂。終い参りの地元の人がたびたびやってきて手を合わせている

除夜の鐘イベントのために並んだファンは100人以上。渡されたのは記念の木札と鐘を突く順番が記された整理券、それにカウントダウンの後で行なわれるくじ引きカードだ

境内では「あの花」グッズを売る出店が1軒、それに2011年の地元「あの花」後援会の活動記録がスクリーンで流されていた

もはや聖地では定番となった「萌え絵馬」も何枚か奉納されていた

境内では2ヵ所で焚火がたてられ、除夜の鐘を待つ人々は火の回りで暖を取る。1年間それぞれの家を守ってきた達磨や福笹が、火の中でその役目を終えていた

午後11時30分、いよいよ除夜の鐘が鳴らされる。整理券の順番で10名ずつ呼び出され、鐘楼の前に並んでいく。ちなみに108回の由来は一般的に煩悩の数と言われているが、他にも四苦八苦を除く(4×9+8×9)という説などもある

呼び出された参加者は、1人ずつ順番に鐘楼に登って鐘を突いていく。筆者にとっては5年ぶりになるけど、まさか地元から遠く離れた秩父で除夜の鐘を突くとは思わなかった。思いっきり撞木を振って叩きつけると、大きく重く鳴り響いた鐘の音は地を這うように、夜の秩父盆地いっぱいに広がっていった……

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