バッファローの「TeraStation」が、いわゆるデスクトップ型NASのスタンダード機であることに疑いを持つユーザーはいないだろう。最大8ドライブを搭載できる「太っちょモデル」も登場し、独走態勢の強化を図る。
登場から6年。トップを走り続ける秘訣とは?
「テラステ」ことTeraStationの歴史は、デスクトップ型NASの歴史そのものといえる。本特集の冒頭でも書いたとおり、2004年に個人向けのファイル貯蔵庫としての初代テラステが登場した訳だが、そのときには重心の安定したキューブ型筐体、RAID5対応、ギガビットEthernet搭載、10万円程度の価格という製品のコアはすでに確立していた。
その後、企業を念頭に置いたPROシリーズやラックマウント型モデル、Windows Storage Server搭載モデルも登場。新モデルがリリースされるごとに、高速化や高信頼化はもちろん、ホットスワップでのHDD交換、RAID6の実装、Active Directoryへの対応などの機能強化を次々と果たしていった。
新興ベンダーであれ、大手ベンダーであれ、現在でもデスクトップ型NASの分野に関してはどの会社もバッファローを最大のライバルとして挙げる。バッファロー 事業本部 NAS事業部 NASマーケティンググループリーダーである松﨑真也氏は、現在もトップシェアをキープし続ける要因を「やはり一番最初からやっているという実績は大きいです。お客様の声を着実に反映させた正常進化の結果だと思っています」と語る。
こうした顧客の声の反映は、目に見えやすい機能強化だけにとどまらない。運用状態を一目で確認できる前面のディスプレイしかり、HDDの交換を容易にするベイ構造しかり、日本語ファイル名へのきめ細かなサポートしかりだ。「今まではTeraStationでとったバックアップはファイルシステムの違いで、別途ツールを介して参照する必要があったのですが、前バージョンからはWindows PCから直接ファイルを取り出せるようになりました」(松﨑氏)。こうした一見地味とも言える改良が、現在の高いシェアにつながっているのは間違いない。
ちなみに弊社の多くの編集部も、いち早くTeraStationに飛びついた経緯がある。現在でも各編集部でTeraStationの姿を見ることができる。
Atomプロセッサーと大容量メモリ搭載で100MB/s超えを実現
そして2011年2月に発表されたTeraStation Proの新モデル「TS-VHLシリーズ」でも、高速化、信頼性の向上、管理機能の強化などまさにユーザーが望んだ正常進化が施されている。
まずはLinuxベースの同社NASとして、CPUにはじめてAtomプロセッサーを採用したことが挙げられる。メモリも従来の512MBから一気に2GBに引き上げられた。この結果として、転送速度や同時アクセス数が大幅に向上。バッファロー 事業本部 NAS事業部 NAS開発グループリーダー 後藤悟氏は「従来は同時3PCでのアクセスが82MB/sだったのですが、今回は100MB/s越えを達成しています。いままでTeraStation安いんだけど、人数が多くて平気かなとお考えの方でも安心して利用できます」と胸を張る。ライトの性能も向上したので、バックアップの時間も短縮できるという。
ハードウェア面でのもっとも大きな変化としては、待望の6/8ドライブモデルが追加されたことが挙げられる。従来の4ドライブモデルをそのまま太らせたような筐体が印象的で、8ドライブ搭載で最大16TBまでの容量をカバーできるようになった。「やはり単体で大容量が欲しいというニーズが高かったので、今回投入しました。たとえば8台搭載のモデルは出荷時RAID6の構成になっていますが、あとからミラーリング4本とか、RAID10を2セットとか、6台でRAID6、7台目をホットスペア、8台目をメディアカートリッジみたいな組み合わせも可能です」(後藤氏)。ユーザーのアイデアやポリシー次第で、さまざまなRAID構成を利用できるのが大きなメリットだ。また、高速なUSB3.0にもいち早く対応しているので、外付けHDDへのバックアップ時間を大幅に短縮できる。
(次ページ、とにかく簡単な操作を目指したフェイルオーバー)

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