とにかく簡単な操作を目指したフェイルオーバー
ソフトウェア面では、やはりフェイルオーバー機能の追加が大きい。これはTeraStationに障害が起こった際、自動的に予備機に処理を引き継ぐ機能。メイン機から予備機にデータをバックアップするレプリケーションの延長として提供された。「レプリケーションを使えば、最新のデータは保護されるのですが、予備機に接続するための設定変更が必要になります。メインユーザーのSMBでは、こうした手間をかけるのも難しいという意見が多かったんです」(後藤氏)ということで生まれた。
具体的には、メイン機と予備機がLAN経由で死活監視を行ない、ポーリングが途絶した段階で、障害と見なし、予備機がメイン機に昇格する。デフォルトでは1分ずつポーリングし、5回途絶すると切り替わる(最短は30秒間隔で2回途絶で切り替わり)。データを保護するだけのレプリケーションと異なり、フェイルオーバーではユーザーアカウントや設定情報などまで引き継がれるので、PCの設定変更は不要だ。フェイルオーバー対象は同じ機種2つがお勧めではあるが、他のTeraStationでも使えるという。「フェイルオーバーの設定時に、LAN上のTeraStationを検索し、自身の容量が収まるボリュームを持った相手を探します」(後藤氏)ということで、モデルによっては既存のTeraStationを利用できる。
メイン機のネットワークを外してフェイルオーバーを試してもらうと、数分で予備機がメイン機とのポーリング途絶と判断し、ビープ音とともにフェイルオーバーの処理を始めた。数分後にはメイン機の設定で再起動され、PCからは再度共有フォルダにアクセスできるようになる。ということで、障害時から切り替え完了までにはそれなりに時間がかかるのだが、「とにかく簡単に使えることを目指しました。ユーザーインターフェイスで対象の予備機を選んで、パスワードを入れて、あとは予備機のFunctionボタンを押すだけ。これくらいじゃないと、うちのユーザーは使ってくれないと思いました」(後藤氏)ということで、複雑な設定・操作を廃した点が大きいと話す。
あくまで着実な進化を目指す横綱相撲
競合は増えたが、「ミラーリングの小型モデルからラックマウント型まで幅広くモデルを用意しているのが大きな強み。あとはユーザーの声をきちんと取り入れているのが、シェアを維持している理由だと思います」(松﨑氏)とのことで、優位は揺るぎそうもない。また、iPhone・iPadやAndroid端末からのリモートアクセスなどコンシューマ向けの機能も、ユーザーによっては魅力的に感じられるだろう。
今後の展開としては、さらなる大容量化もありえるが、「Atomで12台のHDD構成を実現できるか未知数」(松﨑氏)ではある。その意味でも、速度や安定性の向上を着実に行なっていくことになりそうだ。一方で、UPS連動以外にも計画停電に対応するような機能が実装できないか検討しているという。いずれにせよ、顧客の声を重んじた製品作りを心がける限り、期待を裏切られることはなさそうだ。
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