4月19日、デルはPCの春モデル全製品を一挙に紹介するプレス向け説明会を開催した。Sandy Bridge対応チップセットのトラブルの影響を受けたプラットフォーム移行も完了し、新世代製品が出そろった形になる。
高性能かつ低消費電力が特徴
デルは当初3月中に春モデル全製品を紹介する予定にしていたが、震災の影響もあって延期され、一部の製品がすでに発売済みとなったこのタイミングでの開催となった。時節柄、まず紹介されたのは同社の震災支援に関する取り組みだ。同社では復興支援のために100万ドル規模の寄付を行なっているほか、被災地で活動するNGO／NPCを対象に100台の自社製ノートPCを寄贈。また、社員に対しては特別休暇制度を制定して復興支援のボランティア活動等に参加しやすくするなどの配慮も行なっているという。
左から、ラージ・エンタープライズ ジャパン・マーケティング本部 クライアントソリューション・ブランドマネージャーの堀内 朗氏（Latitudeについて説明）、コンシューマー&SMB事業本部、マーケティング本部 シニアマネージャーの伊田 聡輔氏（全般概要およびコンシューマ製品、Vostroについて説明）、北アジア地域 公共事業マーケティング本部 クライアント製品ソリューションマーケティング マネージャーの垂見 智真氏（OptiPlexについて説明）。
製品に関しては、個人向け、SOHO／中小企業向け、中／大規模企業や官公庁、自治体、教育、医療機関向け、という3つのマーケットセグメントに分けて行なわれた。個人向けの製品については別記事を参照してもらうこととし、ここでは、おもに法人向けと位置づけられる製品について概要を紹介する。
ラインナップの全体構成
まず、中小企業向けノートPCの「Vostro」では、第2世代Core iシリーズ（Sandy Bridge）が搭載されたことや、USB 3.0／Bluetooth 3.0といった高速I/Oをサポートする点などが特徴となる。
Vostroの概要
次に、法人向けデスクトップPCである「OptiPlex」では、Vostroの機能に加えてより高効率な電源の搭載や、拡大されたvPro対応などが特徴となる。大量導入するユーザー企業も多いことから、プリインストールするソフトウェアのカスタマイズから資産管理用の刻印を筐体に施すといったものまで、広範なカスタマイズに対応する工場出荷時のカスタムインテグレーションなども提供される。
OptiPlex 990シリーズ
ハイエンドモデルとなるOptiPlex 990では、グラフィックカードの2枚挿しにも対応し、モニタを4台使う構成にも対応する。これは、ディーリングルームなど金融機関のユーザーからの需要が高かった構成だという。また、電源ユニットは効率90％のものが使われ、省電力性能も向上した。さらに、無償オプションとして「DELL ENERGY SMART」が提供される。これは、工場での生産のタイミングで施される省電力設定で、エネルギー効率の向上を最優先にした設定があらかじめ行なわれた状態で出荷されることになる。たとえば、非動作状態が15分続いたらスタンバイに移行するなどの設定がなされるという。
中・大規模企業向けノートPCの「Latitude」では、以前からの製品コンセプトである「場所を選ばぬ接続性」「耐久性重視の設計」「高信頼なセキュリティ性」「効率のよい集中管理」といった点は維持されており、エンタープライズ市場で重視される製品の継続性に配慮した形になっている。
VostroとOptiPlex、特殊用途の比較
Sandy Bridge採用のマイナーチェンジという位置づけ
今回の新モデルは「インテルの新プラットフォームに対応するためのマイナーチェンジ」と位置づけられており、断絶的な変化はない代わりに着実な向上を果たしたモデルとなる。企業ユーザーのノートPCへのシフトというトレンドに配慮し、vPro対応モデル／vPro非対応モデルの両方がラインナップされるなど、機能や使い勝手の面でデスクトップPCのOptiPlexと同等の構成となるように意識されている。
特に強調されたのはやはり省電力機能の部分で、1時間で80％まで充電できる「ExpressCharge」機能は被災地や計画停電下などの不安定な電力環境でも有効な機能であると紹介された。
