FOSTEXの強みを内に秘めたパステル色スピーカー
音楽ライフを楽しくする、高音質機「FOSTEX PA-2」
2011年03月29日 11時00分更新
パステルカラーだけど侮れない本格派
そのメーカーであるFOSTEXは、レコーダーやミキサーなどのプロ用スタジオ機材でミュージシャンやエンジニアにはおなじみのブランド。
中でもスタジオモニターは人気が高く、「NF-01A」や「NF-1A」は、すでにスタジオでの定番機材と言っていい。いずれも各スピーカーユニットの軸を垂直に揃え、バスレフダクトをシンメトリーに配置するデザインに特徴がある。これは定位のピントをシャープにするため、各スピーカーから出る音波の位相(左右のスピーカーから音の出るタイミング)を揃えるのが目的だ。最近ではここにコストパフォーマンスの高い「PM0.4n」が加わり人気を集めている。
PA-2も、そうした一連のモニタースピーカーの直系に当たる製品で、さしづめ「PM0.4nの妹分」といったところか。だからポップなパステルカラーで展開しているものの、音質は本格的なスタジオモニターそのもの。
フラットな特性と解像感、そしてシャープな定位感は、2クラスほど上の機材と思えるほど。と言うより、こうして書いている筆者が、音を聴いた後にペアで2万円足らずと聞かされビックリしてしまった。
音の良さの秘密は、まず凝ったアンプの構成にある。この価格帯のアクティブスピーカーは、片方のスピーカーボックスに両チャンネル分のアンプを内蔵し、それをスピーカーケーブルでもう片方に分配するのが普通。
ところがPA-2は左右のスピーカーにそれぞれ独立したアンプを載せている。コストも高くつくのに、わざわざ両方にアンプを入れているのは「バイアンプ」と呼ばれる構成を採っているためだ。
PA-2はバスレフ構造のエンクロージャーに、高域用の19mmソフトドーム・ツイーターと低域用の100mmウーファーという、2スピーカーの構成。一般的な2ウェイ方式のスピーカーなら、2つのスピーカーユニットを1つのアンプで鳴らすところを、PA-2は高域用、低域用、それぞれのユニットを独立したアンプで鳴らしている。
これをバイアンプ方式といい、各スピーカーユニットの特性を活かしきるために、ハイエンドオーディオの世界でよく使われる手法だ。要するに全部のスピーカーユニットが、専用のアンプにつながっている状態なのだ。
そのアンプの出力は低域が18W、高域も18Wで、机の上で聴くのにパワー不足は感じさせない。逆に大きなパワーをかけないと綺麗に鳴らないモニタースピーカーも多い中で、ごく小音量でもバランスを崩さず鳴るのは感心したし、プライベートルームで使うのに向いた性能だ。
FOSTEX PA-2がスゴい4つの理由
- プロ用スタジオ機材の血を引く正統派
- パソコンや携帯プレーヤーへの直結を前提とした設計
- ユニットを自社開発することで高性能・低価格を実現
- 音質を追求した末のバイアンプ方式採用
周波数特性は60Hz~30kHzと十分に広いが、低域から高域までフラットによどみなく繋がる感じは、バイアンプ構成の賜物だろうと思う。左右両方にアンプを載せた関係で、電源のソケットも2個必要になるが、それで困らないようにスイッチ付きのAC分配器が付属しているのも、利用シーンを分かっている感じがした。
逆にここまで凝った構成で、何故この価格なのかが不思議なくらいだが、そこがこのブランドの強みでもある。FOSTEXブランドを展開するフォスター電機は、スピーカーやヘッドホンのユニットを世界中の有名メーカーへ供給していることでも知られている。
アクティブスピーカーの設計にしても、ユニットを他社から購入する必要がない上に、自社製品のコンセプトに合わせて設計できる。それで価格を抑えた上で高い性能が出せるのだろう。これはスピーカーユニットを他から調達して、スピーカー全体を設計せざるを得ない他のメーカーにはかなわないところなのだ。
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