人が集まると猫も集まる
そっと近づいて撮っていると、猫に気づいた通行人が立ち止まるようになってくる。すると、坂の上から別の猫がとことことやってきて、塀の上でご対面。
それをきっかけに隠れてた猫が集まり始めたのだ。西日が坂道をまんべんなく照らして暖かい時間帯だったからなのか、人が立ち止まるようになり、餌をもらえると期待して集まったのか。
たぶん、その両方。足を止めて猫を撮っていると、夕やけだんだんが猫に愛される理由が分かってきた。坂の中央は人が通る幅広の階段だが、その両脇に花壇やら塀やらフェンスに囲まれたデッドスペースやら、不用意に人が立ち入らないスペースがたくさんあるのだ。
そういう場所を上手く見つけて日向でくつろげるのである。前ページの冒頭写真もそう。坂の上から猫と商店街を広角で撮ったんだけど、人は緑の柵の内側を歩く。だから外側は(わたしのような猫好きが無理に入り込まない限り)比較的安全なのだ。
夕日がきれいに当たって暖かいし、デッドスペースでくつろげるしで、猫が集まってくるのもわかるってもんだ。
さて上の写真の猫と冒頭の猫は同じだが、よく見ると右耳の先端が欠けてる。これは「去勢しました」という印。地域猫として育てるためのマナーの1つとして、猫が増えすぎないよう、ボランティアの手によって去勢されることがよくある。
でも、去勢されているかどうかは見た目では分からないため、印をつけるのだ。耳にピアスもあるが、それだといつのまにかとれてしまうので、最近は耳の先端カットが増えているらしい。左耳と右耳でオス/メスを分けている地域もある。
虐待だという人もいるけど、捨てられた猫と、猫世話好きな人とそうじゃない人が平和に共存するため、ひとつ知恵として見守っていきたい。だから、片耳の先が欠けている猫を見かけたら、「ああ、地域猫として世話してくれている人がいるんだな」と温かい目で見てやってください。
来週はこの「夕やけだんだん猫」の人気っぷりをお届けする予定。
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筆者紹介─荻窪圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメのレビューをしている。趣味はネコと自転車で、天気がいい日は自転車で都内を走りながらネコを見つけては撮影する日々。最近の単行本は『デジカメ撮影のネタ帳 シーン別ベストショットの撮り方』(MdN)、『デジカメ撮影の知恵』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫。2010年4月27日発売)。Twitterアカウントはogikubokei。ときどき猫動画をアップするYouTubeのアカウントもogikubokei。
*次回は2011年1月21日掲載予定
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