「エネルギー消費可視化ポータル」のシステム構成
今回の実証実験は、CMCの豊中教育研究棟を使って実施する。ここは、大阪大学の情報教育センター、大型計算機センター、図書館の機能を併せ持う施設で、大学のIT中核施設として2000年に発足した。スーパーコンピューターシステム、学内の教育用コンピューターシステム、データベースシステムなどのサービスを提供しつつ、関連する情報科学分野の研究開発を行う7部門を保有する。
実証実験で使われる「エネルギー消費可視化ポータル」のシステム構成は以下の通り。
- 全フロアのエネルギーをモニターし、そこから収集される電力消費データを、既設の校内LANを活用して集約する。
- 集約されたデータをウェブサービス経由で、データベースサーバーに送信する。
- データ集計や分析を行い、ポータル上にグラフ表示やフロアマップなど作成。見た目に分かり易くビジュアライズされた形で、消費電力を可視化する。
なお、計測には、パナソニック電工のエコパワーメーター(32台)とエネルギーモニター(3台)を設置し、UBITEQの電力計測システム「BX-Office」を使っている。計測ポイントは計85ヵ所だ。
「BX-Office」は、既設のIPネットワークを活用し、各エネルギーモニターから10分周期で電力消費データを収集可能なシステムだ(本実験では1時間ごとに収集)。このデータを、ウェブサービスを通じて、データベース(SQL Server)に蓄積し、フロア/部屋/用途/時間別などで分析する。また、可視化のためのポータルサイト構築には、「SharePoint Server」と「Visio Premium」が使われている。
マイクロソフト側は、技術提供と併せて技術スペシャリストなどの社員がプロジェクトメンバーとして参加している。
現在は、まだ電力消費の計測、集積、表示のための環境が整備されたところで、今後は、効果的な消費状況の提示方法を検討しながら進めていくという。時期は未定だが、学内に14台設置されたプラズマディスプレーで「デジタルサイネージによる掲示」をした場合や「メールなどで積極的に消費電力の削減を訴えた場合」などを比較し、消エネに対する行動パターンがどう変化するかを研究していく予定だという。