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エネルギー消費量を可視化し、利用者に気付きを

マイクロソフト、大阪大学とグリーンITプロジェクトを開始

2010年12月13日 10時15分更新

文● 遠竹智寿子

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 「グリーンIT」と言えば、省電力やCO2対策など、環境に配慮したIT製品やITシステムを思い浮かべるひとが多いだろう。しかし、12月7日に発表された、大阪大学サイバーメディアセンター(以下CMC)とマイクロソフトの共同プロジェクト「大阪大学CMCグリーンIT」は、これまでの試みとは視点を変えたグリーンITへの取り組みではないか。

 この共同プロジェクトは、大学のエネルギー消費量を可視化し、効率的なエネルギーマネジメントに繋げようという試み。まずは2010年12月1日から2011年6月30日までの半年間で区切り、同大学構内での実証実験を行う。

 本記事では、取り組みに至った背景やシステム詳細についてレポートする。


大学が抱える共通した問題点とは何か?

 マイクロソフトは以前から、東京大学との情報化プロジェクトを始め、大学におけるIT活用の推進を目指した連携に積極的だ。しかし、グリーンITを主体とした取り組みへの支援は初めてだという。

教室等で使われるIT機器以外にも研究室の実験設備などが加わる。各大学における省エネルギー運動にも関わらず、CO2排出量は、依然として漸増傾向にあるという

 CMCのセンター長である竹村治雄教授に訊ねたところ、マイクロソフトが毎年開催している「大学CIOフォーラム」で繋がりを持ち、同大学における課題(=莫大な電力消費を抱える)にフォーカスしたプロジェクトに取り組むことになったという。大学CIOフォーラムは、IT に関する各大学共通の課題についての議論を通じ、大学における IT戦略の策定やITガバナンスの確立を支援するフォーラムである。

 研究所や付属病院などを保有する大学施設は、同大学に限らず、CO2排出量が他の事業所よりも多く、大きな課題の一つとなっている。

 大阪大学では、施設部管理計画課が担当となり、大学環境マネージメント体制を作り「環境報告書」を作成。CO2の排出量のモニタリングと情報公開をしている。

 しかし、その量は年々増え続けているそうで、もっと抜本的な対策を投じる必要性がある。「大学におけるグリーン化は産業界よりも遅れていると感じている」と竹村教授は語る。

 「大阪大学における2009年のCO2排出量は95kt。その約78%は空調、照明、コンピューターなどの電力消費に起因している。ITを活用して電力消費を可視化することで、利用する学生や教職員の意識を向上させ、大学全体の効果的なエネルギーマネジメントの実現に寄与できないか、というのがプロジェクトの目的です」

 大学内で稼働しているPCは2万台以上だということが調査により明らかになっているが、実際にはより多くのPCが存在していると思われる。その内、何台が稼働し、どの程度のエネルギー消費をしているのかは分からない。また、サーバーにおいては200台以上が24時間稼働しており、それぞれの稼働率は不明。こうした、PCやサーバの稼働状況をモニタリングできないかと考えたそうだ。

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