前回は、「2010 AMD Financial Analyst Day」や半導体関連イベントの講演概要などから判明した、AMDの次世代CPU「Bulldozer」の内部構造について解説した。今回は、それを踏まえた将来のロードマップについて解説しよう。まずは、サーバー向けCPUから始めたい。
2012年にはTerramar/Sepangコア世代に
サーバー向けCPUロードマップ
11月に開かれたFinancial Analyst Dayでは、大雑把な方向性(下画像左)と簡単なロードマップ(同右)のみが示された。しかし、実際には2010年~2012年にかけてプラットフォームの移行が2回も発生するため、製品ラインナップは上の図1のように、かなり複雑なものになる。
まず2010年は、連載32回でも触れたとおり、Socket Fの「Opteron 8xx/2xx/1xx」からSocket C32の「Opteron 4xxx」シリーズと、Socket G34の「Opteron 6xxx」シリーズに切り替わった。
「切り替わった」と言っても、実際にはまだSocket F製品は生産終了になっておらず、恐らく2011年中旬(下手をすると2011年一杯)も供給が続くだろう。デスクトップPCと異なり、すでに導入済のシステムのサポートを急に打ち切るわけにはいかないからだ。そのため今は両製品が混在した形になっているのだが、2011年はこれに、Bulldozerコアの製品が追加される。
2011年のOpteron 4xxx(Valencia)に関しては、4プロセッサー(4P)構成は販売しない※1という方針を固めたようで、6Pモデルと8Pモデルのみが投入されるという。
※1 デスクトップ向けにダイは作るが、それを「Opteron 4xxx」として販売はしない。
その一方で、MCM構成のOpteron 6xxx(Interlagos)については、16P/12P/8Pの3種類があることも明らかにされている。現行世代の「Magny-Cours」と同様に、それぞれ8P/6P/4PのコアをMCM構成にしたものと考えて間違いないだろう。型番に関しては、順当に考えれば今のMagny-Coursが「Opteron 61xx」、「Istanbur/Shanghai」が「Opteron 41xx」なのだから、それぞれ「Opteron 62xx/Opteron 42xx」となると思われる。
さて、問題はその先である。ロードマップでは「Terramar」と「Sepang」という2つのコード名が明らかにされており、それぞれ次世代Bulldozerコアを搭載するとしている。ここから、少なくともOpteron 6xxx/4xxxで作った2P/1Pと4P/2Pという分け方は、この世代も踏襲することが読み取れる。
また、この次世代Bulldozerコアは最大10コアまで対応している。ここから、TerramarはSepangをHTLinkでつないだMCM構成になるだろう、ということも想像がつく。問題はこのプラットフォームで、現時点で筆者が聞いている限りでは、Socket G34/Socket C32との互換性が失われ、再び新しいプラットフォームに入れ替わるようだ。
2012年といえば、PCIe Gen3が標準でマザーボードに実装される頃だし、オンボードで10GBASE-Tが標準搭載されていても不思議ではない時期だ。プラットフォームの入れ替えが起きても、さして大きな混乱はないだろう。ただそうなると、今のOpteron 6xxx/4xxxシリーズの型番をそのまま踏襲するかどうかは不明である。
順当にいけば、この世代は「Opteron 63xx/43xx」となるはずだが、もう少し数字がジャンプする可能性もある。またTerramar/Sepangコアを搭載した、Socket G34/C32対応製品が出るかどうかも現時点では不明である。メモリーインターフェースは引き続きDDR3(低電圧版のDDR3L)になるのは間違いなく、あとはHTLinkの数やメモリーのチャンネル数あたりが、ひょっとすると現行製品よりも強化されるかもしれない。

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