今回は久しぶりにCPUロードマップの話題を取り上げよう。去る11月9日、AMDは「2010 AMD Financial Analyst Day」を開催した。このイベントは金融系のアナリストに向けて、自社の経営状態のレポートや今後の製品展開を含む業績予測、および自社の経営方針などを説明するという、株式上場会社にとっては重要なイベントである。
同時にこのイベントは、同社の今後の製品ロードマップ展開を示してくれるという観点で、IT業界/プレス関係者にとっても重要なイベントである。そんなFinancial Analyst Dayで2011年における製品ロードマップの概略が示されたので、まとめてご紹介したい。
なお、2011年2月にIEEEの主催する国際会議「ISSCC」(International Solid-State Circuits Conference)が開催される予定だが、開催に先立って講演プログラム一覧が公開された。この情報で少しだけ「Bulldozer」の概略もわかったので、こちらもあわせてご紹介しよう。
AMDの次世代CPUコア Bulldozer
まずはBulldozerコアの話題から始めよう。Bulldozerは2つの「CPUコア」と、コアで共有されるフェッチ/デコードユニット、同じく共有のFP(浮動小数点演算)ユニットを持ち、これをひとつの「CPUモジュール」として取り扱うという、ちょっと独特な構造になっている。
FPユニットそのものは、基本的には128bit幅のものが2つ並んでいて、これが2つのコアで共有される。各FPユニットのピークにおけるクロックあたりスループットそのものは、従来の「K10」(Phenom)ベースと変わらないが、拡張命令「AVX」を含む256bitのFMAC命令の場合は、2つのFPユニットが連動して動く形となる。
HPC系のような科学技術計算を大量に行なわせる場合を除くと、すべてのCPUでFPUがフルに使われるというケースは希である。そこでFPUを共有構造にすることで、FPUを使うCPUはより高いスループットを得られるし、FPU自身の利用効率改善にもつながる、というのがこのアイディアである。
さてこのBulldozerであるが、今回は珍しくコアの写真がプレゼンテーションで掲載されたものの(写真左)、拡大してみると明らかにおかしい(写真右)。
右の写真は歪みを取った上で、(縦横比が不明なので)とりあえず600×600ドットに拡大したものだ。まず上下でコア(モジュール)のサイズがまったく異なっているし、そこにつながっていると思しき2次キャッシュのサイズも異なる。右上のモジュールは内部が比較的透けて見えるが、そのほかのダイは妙にぼけているのも気になる。そもそも下半分のモジュールは、上のモジュールと違うように見える。
ここまで違っていると、適当にでっち上げたフェイクな写真であることは間違いないだろう。ちょっと引き伸ばしただけでそれとわかるような写真をわざと出してきたあたりは、「製品ラウンチまで正式写真はお預け」という、AMDの悪戯っぽいメッセージを感じる。
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