鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第21回
プリアンプ「P-3000R」、パワーアンプ「M-5000R」、CDプレーヤー「C-7000R」
15年ぶりの登場!! オンキヨーの本格派セパレートコンポを聴く
2010年11月17日 16時00分更新
動的ノイズを制する新回路「DIDRC」
まずは、これらのコンポーネントに採用された新しい回路技術を紹介しよう。新開発の「DIDRC」(Dynamic Intermodulation Distortion Reduction Circuitry)は、一言で言えば、デジタルオーディオ特有の動的ノイズを抑制する新発想のアンプモジュールだ。これはデジタルオーディオが主体となった現代の発想から生まれた“混変調歪み”を改善するもの。
一般的なオーディオアンプは、100kHz前後までの帯域において、“高調波歪み”や可聴帯域内の“混変調”を少なくするように開発されてきたが、デジタルオーディオでは、例えばCDの44.1kHzの信号でも8倍オーバーサンプリングを行なうと、44.1×8=352.8kHzとなり、かなりの高周波に及んでいる。そして、“混変調歪み”の原因となる量子化ノイズもそうした超高周波の領域で発生している。
アナログオーディオ時代は、可聴帯域を超える歪みについてはあまりケアされていなかったが、どうやらこうした高周波の歪みが可聴帯域にも降りてきて、ビートノイズなどの悪影響を及ぼしていることがわかってきたという。
しかも、音楽信号に相関して、絶えず変化しながら可聴帯域に現われるのでやっかいだ。これは、測定ではわかりにくい微小なノイズなのだが、きちんと対策すると聴感ではその違いがわかるという。
具体的にはDIDRCという新しいモジュールは、デジタル特有の動的なノイズの発生原理を究明し、可聴帯域を超える超高周波の帯域までスルーレートを改善して、歪みを低く抑えるもの。これによって、微小な音楽信号を埋もれさせてしまうノイズを抑え、より鮮明で生き生きとした音を再現できるようになっている。
DIDRCは、プリアンプ、パワーアンプ、CDプレーヤーの各増幅部に搭載されている。まさにデジタル時代の発想で生まれ変わったオーディオコンポーネントと言える。
デジタル時代のアンプということで、プリアンプにはD/Aコンバーターが内蔵されている。ピュアオーディオ的な発想としては、なくてもいいように感じるが、今時のアンプでデジタル入力がないという製品も考えにくいだろう。
D/Aコンバーターのチップは、32bit/192kHz対応のバーブラウン製「PCM1795」を左右独立で使用。サンプリングレート変換機能も備えており、最大192kHzに変換して出力できる。CDならば、176.4kHz(44.1×4)の出力が可能だ。
背面の端子も真鍮削りだしの金メッキ端子で、ハイグレードな太いケーブルとの接続も考えて、18mmピッチの広めの間隔で装備している。デジタルオーディオ入力もバランスドデジタル(AES/EBU)まで備える充実ぶりだ。
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