Webサイト制作における受注とは、クライアントに提出した見積書が承認されて、発注が決定した段階を指します。メールや口頭で発注の意思を確認できた時点でWebサイト制作に取りかかる場合と、注文書をファクスで受け取る場合、後で正式な契約書を締結する場合の、主に3つのパターンがあります。
契約締結から支払い完了までの流れ
受注が確定してから支払いまでの正式な流れは、クライアントから作業内容、金額、支払条件、日付が入った注文書を受け取り、契約書を締結するところから始まります。契約締結後にWeb制作を開始し、Webサイトのリリースをもって納品となります。納品時にはクライアントに納品書を提出し、Webサイトの検収後、検収書を受け取ります。検収書の受領後、クライアントに支払い条件を再確認し、請求書を提出します。条件に基づき支払いが完了したことが確認できたら、クライアントに入金の確認が取れたことを連絡して、ひと通りの流れが完了します。入金の連絡をする際には、感謝の言葉を一言添えるとよいでしょう。
実際には事務作業を簡略化するために、契約書、納品書、検収書を省略し、発注書と請求書のみやり取りする場合や、見積書と請求書だけ発行する場合もあります。ただし、いずれの場合でも、後々のトラブルを避けるために、受注した証拠をメールや書面に必ず残してください。すべての記録をきちんと残しておけば、クライアントの担当者が途中で変更になった場合などにも役立ちます。
Webサイト制作ならではの注意点
Webサイト制作では、当初の見積もりには含まれていなかった機能の追加など、制作途中になって仕様の変更を求められる場合があります。その場合は、追加の内容を盛り込んだ見積書を再提出し、クライアントの意思を確認する必要があります。ただし、クライアントにとって想定外の費用であれば、一括売上げが立てられない可能性もあります。
また、クライアント側の都合で原稿が予定通りに揃わない、内部確認が取れないなどの理由で、リリースが遅れる場合も少なくありません。リリースが遅れると納品・検収ができないため、いつまで経っても売上を立てられない状況になりかねません。
対処法としては、たとえば一括売上げが立てられない場合はクライアントと協議のうえ分割納品し、請求も分割するといった方法が考えられます。また、クライアント都合でリリースが遅れる場合は、分かった時点で上司に相談するなどして、請求タイミングをいつにするかを改めて検討することが必要です。Webディレクターはサイト制作だけでなく、見積書の再提出交渉や請求タイミングの確認などがきちんとできて一人前と言えます。
著者:水野良昭
JWDA(一般社団法人日本ウェブデザイナーズ協会)理事。1968年東京都生まれ。商社7年勤務後、シリコンバレーに渡米。帰国後、自治体WEBサイトを構築。その後ISPにてグループウェアASP商品化。第13回 KSPベンチャー・ビジネススクール 準優秀賞受賞。同ビジネスプランにて、オンラインデスクトップ株式会社を設立。