BlackBerryの要であるプッシュメールのシステムを
マルチプラットフォーム化
BlackBerryで知られるカナダのResearch In Motion(RIM)が方向転換している。同社は5月初めに開催した年次イベント「BlackBerry World」でMicrosoftとの提携を発表、BlackBerry成功の鍵である「BlackBerry Enterprise Server(BES)」をAndroidやiOS端末でも利用できるようにする計画も明らかにした。iPhoneやAndroidにシェアを奪われた結果のオープン化と見られるがリスクもともなう。RIMの将来に危惧を抱く見方もあり、Microsoftが同社を買収するという噂も再浮上している。
BlackBerry Worldでは、NFCに対応した最新機種「BlackBerry Bold 9900」、同じく9930、最新のOS「BlackBerry OS 7」などいくつかの発表があったが、話題をさらったのはMicrosoftだ。RIMの共同CEO、Mike Lazaridis氏の基調講演中にMicrosoftのCEO、Steve Ballmer氏が登場し、BingをBlackBerryスマートフォンとタブレット「PlayBook」のデフォルトの検索、地図サービスとすること、2011年内を目標にOSレベルでの深い統合を進めることを発表した。Ballmer氏はまた、BlackBerryプラットフォームへの投資を行なうことも明らかにしたようだ。
Microsoftの狙いは明らかで、モバイル分野でのBingのプッシュだ。将来的にはBingにとどまらず、Windows Phoneにも拡大する可能性も考えられる。RIMはPlayBookでAndroidアプリを利用できるようにしたが、Microsoftもこの提携を入り口に、Windows Phoneなど自社技術を広げていくつもりかもしれない。なお、Bingはすでに米Verizon Wirelessが提供する一部機種でデフォルトの検索エンジンとなっている。
Microsoftはこのところ、モバイルで積極的に動いている。その最たるものは2月のNokiaとの戦略的提携だが、RIMとNokia(とMicrosoft)の共通点はAndroidとiOSの登場によりシェアを失っていることだ。RIMを取り込むことで、Android、Appleに対抗する勢力を作ろうとしているように見える。
Microsoftは最近Skype買収計画を発表した。必ずしも買収における最大の目的ではないかもしれないがモバイル強化の効果もありそうだ。AndroidやiPhoneのアプリケーションマーケットでのSkype人気は強く、Nokiaの流通チャネル、Windows Phone/Microsoft、Skypeという部品は、うまく組み合わせればモバイルの覇権争いに影響を与えそうだが。
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