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ニーズのあるところ、カスタマイズの種あり

サポート・ソリューションのBTO化に取り組むデル

2010年07月20日 09時00分更新

文● 小林 久/TECH.ASCII.jp編集部

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多様な利用形態にどう対応していくか

── 垂見さんは、公共機関や官公庁のビジネスを担当されているそうですが、教育分野ならではのニーズと言うものはありますか?

垂見 「教育分野の特殊性という意味では、使う人が本当に多様だというのがあります。企業であれば、業務に携わる人がPCを使い、利用方法もハッキリしている。

 しかし、教育とひと口に言っても使うのは児童・学生・生徒もいれば、学者さんもいる。教育機関にだって、一般事務をしている人がいる。個人事業部から法人事業部まですべてを凝縮したお客様といっていいと思います。当然マシンに要求される性能や機能の幅はとても広くなる。

 昔のデルなら法人業務のユーザーが中心で、一般のユーザーのことはあまり考えなかったかもしれません。デザインも無骨だった。

 しかし企業ユーザーも幅広くなってきているし、ノートブックは嗜好品的な要素も強くあります。以前、スティーブ・ジョブズがマイケル・デルに『デルのパソコンは鉄くずみたいだ』と言ってバカにしたと言われていますが、デルもデザインは勉強し直しています。2007年ごろから、スリークでシンプルな、かっこいい製品にも取り組んで、所有感も上げていきたいと考えています。

 その成果が実ってか、第1四半期の結果は満足いくもので、おかげでミーティングもちょっと減りました(笑)」

── 大企業向けのLatitudeはもちろん、SOHO/SMB向けのVostroにも質感にこだわった製品が出てきていますね。

垂見 「最近デザイン面のフィードバックでとてもうれしかったことがあります。12インチのモバイルノートを導入されたユーザーが、ある事情でデルではなく国産のPCを使わざるを得なくなった。しかし、ACアダプターがデルよりも大きくて使いにくいと。これは昔では考えられないことです。むしろ批判されることのほうが多かった。

最近のデルのモバイルノートで採用されている小型のACアダプター

 また、海外のマジョリティーで言えば、アースの付いたネズミのような形の3ピンプラグです。日本でも、デスクトップのような、ず太いケーブルが付属した製品が増えていますよね。でも、国内の主流はメガネ型の2ピンプラグです。EIAJで規格が決まっていますから、国内の電器店に行けばどこでも大抵は買える。入手性でも、取り回しでも優れている。

キーボードのレイアウトに関しても国内では特有のニーズがある

 さらに国内特有のニーズについて言うと、Enterキーの横にPageUp/Downキーがあるモデルは敬遠され、売上にも直結します。コストだけを考えれば、一枚の板を真四角に切れる、こちらのほうが安いのです。逆にEnterキーを右端にキチンとおこうとすると、十字キーの位置を下にずらしたり、Home/Endキーを上にずらすなど、真四角ではないキーボードになり、レイアウトにもより細かな調整が必要になります。当然コストも上昇する。だから、国内メーカーでも日本以外のアジア太平洋地域では、Enterキーの横にキーを配置していたりします。

 これらは米国本社との調整が非常に重要となる部分で、気をつけないとコストだけを優先した設計が選択されてしまいます。こっちのほうが50セント安いからいいじゃないかという話になりがちです。こういった細かい部分も日本法人としてにらみを利かせないといけないというか(笑) 

 もちろん慣れの部分もあって、同じスペックでキーボードのレイアウトが異なるけれど、1万円安くできる。どちらを選択しますかと聞いたら、8割のお客様がそれで構わないと言うかもしれない。でも、慣れるための苦労をせずに価格も抑えられるのであれば、そのほうがいいに決まっています。

 キートップのシルク印刷に関しても、しばらくは2色で続けていたのですが、久しぶりに3色のモデルも用意しました。前の世代では1色にして裏面のステッカーなども(バッテリー取り付け部など)内側に隠してしまおうとしていたのですが、隠しすぎるのも問題というユーザーの声があって変更しています。直販ベースの会社なので、こういったニーズにも細かく対応していかないといけないと考えています」

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