次の世代に「想像させる」役割
―― 伝わっていく過程で、誤解が生じてしまう。事実とは離れてしまうことについて、監督はどのように思いますか。
神戸 いいも悪いもない、とは思います。やっぱり人って、何か起きて、こういう目に遭ったんだよと話をするときに、自分にとって都合のいいように話をしますよね。悪いことは隠していたり、話をすりかえたりする。
―― では、伝わる過程で誤解が生まれるのは仕方がない、と。
神戸 仕方がないというか、まあ、そういうものじゃないのかなという。僕は、遺跡とか廃墟というものにすごく惹かれるんですけど、遺跡って、人の歴史そのものですよね。その建造物は完全には残っていなくて、残されたものから「かつてはどうだったのか」を想像するという。
実際はどうだったかはわからないけれども、あとの時代の人が、自分はこうだったと思う、いや、ああだったのではというふうに、いろんな解釈で想像するところに面白さがあると思うんです。
劇中でも、カナタたちが砦として使っている建物は、かつて学校だったんじゃないかという話が出てくるんですけれども。残された教科書や黒板なんかがあって、カナタたちが「どういう人たちが使っていたんだろう」と想像するという。
―― 事実はどうあれ、受け取る側が勝手に想像するということですね。
神戸 そうです。勝手に想像して、勝手に解釈する。想像だから間違っていることもあるでしょう。でも後の時代の人々が、想像することに意味があると思うんです。それは、かつてそこに生きてきた人々が、自分たちが生きた痕跡を、後の世代に渡しているということでもあると思うんですね。
(C) Paradores・Aniplex/第1121小隊
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