リアルタイム変換でWMVやMPEG-2動画をiPadで楽しめるAir Video
iPadには「ビデオ」アプリもあり、iTunes経由で転送した動画を楽しむこともできる。ただ、特に自宅内のPC上にある動画を再生したいといった場合、いちいちiTunesに登録し、ケーブルをつないでiPadに転送するというのは面倒だ。そこでぜひ活用したいのが「Air Video」である。
Air Videoはネットワーク経由でMacやPC上の動画を再生するためのアプリケーションだ。無償版と350円の有償版があり、無償版では広告が表示されるという違いがある。
最大の特徴は、専用サーバソフトである「Air Video Server」を利用することで、標準ではiPadがサポートしていない形式のファイルであっても再生が可能なこと。これはサーバ側でリアルタイムにエンコードし、それをストリーミング配信することにより実現している。たとえばWMVやMPEG-2形式などの動画でも、事前に変換することなく再生できるわけだ。
ただリアルタイムエンコードには当然それなりのマシンパワーが要求されるため、スペックが十分ではないPCでは厳しい。そこでストリーミングせずにエンコード作業だけを行なう機能も用意されている。
サーバの使い勝手がよいこともポイントで、基本的には動画を保存しているフォルダを指定するだけで利用できる。「Bonjour」に対応しているため、iPad側で自動的にサーバを見つけてくれるのも利点だ。
今回、CPUとしてCore i5-750(2.67GHz)を搭載したマシンで、実際にリアルタイムエンコーディングによるストリーム配信をテストしてみた。
サンプルとして利用したのは、ビットレートが2Mbps程度のWMVファイル。再生を始めると、途切れやもたつきもなくスムースに再生される。CPU使用率は時折100%近い値まで上昇するが、Core i5であればほかの作業ができないというレベルではない。
こうしたリアルタイムエンコードの弱点としては、任意の地点を再生するシーク操作が挙げられる。Air Videoでも若干待たされるが、再生が始まるまでの間はごくわずかで、ストレスが溜まるというほどではなかった。
Air Videoで何より便利なのは、H.264以外の動画でも即座にネットワーク経由で閲覧できる点だろう。iPadを動画プレーヤーとして利用するなら、ぜひ活用したいアプリだ。
なお、リアルタイムエンコードにはそれなりのマシンパワーが必要になるため、興味のある方はまずは自分の環境で問題ないかどうかを無料版で試していただきたい。
動画再生端末としても魅力的なiPad
元々リビングでウェブサイトやメールをチェックすることを目的に購入したiPadだったが、実際に手元に置いて使って見ると、YouTubeなどを使って動画を見る機会も多かった。これは専用アプリケーションによる使い勝手のよさと、iPadが手頃なサイズで気軽に使えることが要因だ。さらに表示品質が高く、iPhoneやiPod touchに比べて液晶ディスプレーのサイズが大きいことも影響している。
また動画を視聴する上で、もう1つのポイントになっているのはスピーカーの存在だ。もし十分な音量で再生できず、ヘッドフォンを使うことが前提となるのであれば、これほど使わなかっただろう。決して音質がよいわけではないが、気軽に動画を再生する上でヘッドフォンを使わずに済むメリットは大きい。
このように動画再生端末として考えても、iPadはなかなか魅力的なデバイスである。さらにインターネット端末としても、電子書籍のリーダーとしても使えることを考えると、極めて遊び甲斐のある1台であるのは間違いない。
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