気がついてみれば、初代の「VAIO type P」(VGN-P70、80シリーズ)の発売から、すでに1年半近くが経過した。今回試用するのは、そのリニューアル後継機にあたる新「VAIO P」だ。店頭販売モデルの「VPCP119KJ」を試用できたので、その性能をチェックしてみた。VAIO Pは1年半でどう変わったのだろうか。
デザインテイストが大幅変更、「モバイルグリップ」復活
VAIO Pの外観をチェックしてみよう。サイズ的には旧モデルとほとんど変わらない。角がとれ、カラーリングがポップになったことをのぞけば、基本的な要素は踏襲している。ティザー広告でも使われたように、クリップ的な「くるっとくるむ」ようなデザインテイストになったせいか、ぱっと見にはちょっと小さくなったようにも見える。
旧モデルでは、全角/半角キーがESCキーの隣にあるイレギュラーな配置だったが、今回からはそれが修正されている。
操作系という点で最も大きな変化は、ディスプレーの左右にタッチパッドとボタンが用意され、ディスプレーを両手で持って使うモバイルグリップスタイル」が復活したことだ。ソニーの小型PCとしては、「Uシリーズ」でずっと使われてきたものだが、キーボード重視となった初代VAIO type Pでは採用されてこなかった。
しかし実際には、「Pくらいのサイズであればキーを使わずに操作したい」というニーズも大きく、ライバルである富士通の「LOOX U」は同様のポインターデバイスの採用を続けている。今回の復活は、おそらくそういうところにも狙いがあるのだろう。
採用されているタッチパッドは、おおむね親指の表面程度の大きさ。だが調整がしっかりとなされているようで、操作感は意外なほどいい。LOOX Uのそれよりも快適だと感じる。ウェブ閲覧などに使うなら、十分なものだ。
ディスプレー解像度は、これまでと同じく1600×768ドット。高解像度・横長な印象は変わらないが、文字サイズが変更され、見やすくなったように思える。標準出荷状態でのWindows UIのDPI設定が、OS標準の96DPIから120DPIに変更されているためだ。もちろん従来どおりが良ければ、設定変更すればいい。
さらに、画面を見やすくするためにズームボタンが用意されているが、この反応がなかなかいい。ボタンを押すと1280×600ドット相当の解像度に変更されるのだが、切り換え速度も意外に素早い。Pシリーズは「小さすぎて文字が見えない」と言われることが多かったので、その点に配慮してのものだろう。
ちなみに、以前はディスプレーの右上で目立っていた内蔵カメラ機能だが、今回からはタッチパッド上方に、目立たないように搭載されている。カメラ機能はどのパソコンでも標準になり、いまさらデザイン的に強調する必要はない、というところだろうか。
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