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「明るい未来を作るため」ニコ動に来た小説家、野尻抱介氏

2010年04月23日 13時30分更新

文● ノトフ

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「今はモチベーションさえ生み出せていればいい」

―― そんな尻Pさんが「プレミアム推進運動」を熱心にされていたのはなぜでしょう?

尻P あれはニコニコ生放送が始まる直前だったんですよね。ニコ生はニコ動とは違う流れだったので、不安に思ってたんです。なりふりかまわず黒字化の為に動かれると面白くないと。でもプレミアム会員が増えれば、今まで通りのニコ動のままでやっていけるじゃないかと。

プレミアム推進運動 : 「無料で見るのは十代まで。大人はとっととプレミアム会員になろう」という文句をかかげたサイトを基にした、ニコニコ動画の有料会員(プレミアム会員)を増やそうというプロモーション活動。2008年12月に開始した。

プレミアム推進運動の中心となったサイト

―― なるほど。自分のユートピアを守るためだったんですね。

尻P そうですね……私の未来を守るため、と言ってもいいです(笑)。

―― 実際にかなり効果もあったらしいと聞いています。

尻P そうですね。それに、あのころって「ネットのコンテンツはタダで見るのが賢い」って人が結構いたわけですよ。でも、サービスには金を払うって考え方のほうが僕は正しいと思う。タダで当然っていう考え方には一石を投じたいなと思っていたんです。

―― でも、初音ミクやオープンソースの世界は「無料」で楽しめるものじゃないですか。そういう無料は違うのですか?

尻P それは無料でいいんだけど、ニコ動を支えているインフラっていうのはお金がかかるわけですよね。「電話代くらいは払いますよ」って感じで。いつまでも広告モデルに頼ってるとダメだろうと。ネットって広告しか能がないっていうんだったら、もう未来がないじゃないですか。

―― なるほど、それは確かに。でも、コンテンツ自身もずっと無料だと立ちゆかなくなるときが来るかもしれません。そこはどうお考えですか。

尻P これもね、なかなか大変だなと思うんですけど……ベーシックインカムが出来たら、頑張ってマネタイズしなくてもいいじゃないかというところですかね。ネットってのはなかなかお金にはなりにくいんですよ。特にニコ動みたいに、やっかみや嫉妬が出てくるようなところでは、お金を作るのは難しい。でもネットって、お金は作れないけど、やりがいとかモチベーションを作るのは得意じゃないですか。

ベーシックインカム : 政府や自治体がその構成員全員に、最低限の生活を送るのに必要な現金を定期的に与えるという社会保障システムのこと。日本では2009年、新党日本がマニフェストに掲げていた

―― ニコ動のコメントや再生数は、まさにそうですね。

尻P だから、とりあえず今のところはお金のことをあんまり考えず、モチベーションさえ生み出せてればいいのかなと思ってます。生きていくだけのお金なら働けば手に入れられるけど、やりがいっていうのは、なかなか得られないんですよ。だから、リアルの世界では生きていく最低限のものを稼いで。とりあえず生存は確保した上で、やりたいことはネットでやる。区別してやっていけばいいんじゃないかと。

―― なるほど、ネットは得意分野を伸ばしていって。

尻P そうですね。ネットでのお金儲けはあんまり急がない方がいいかなー、くらいに思ってます。お金が入るにこしたことはないんですけどね。

―― 今は耐えるときかもしれませんね。

尻P 今はなんとか頑張ってやっていくしかないかもしれないですね。現実的な話。

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