エンコード性能はCore i5搭載デスクトップを上回る
CPUやGPUなどがパワフルなので、その分、消費電力は大きい。バッテリーは11.1V/90Whの9セル仕様だが、バッテリー駆動時間は公表されていない。フルパワー動作させると、あまり駆動時間は長くないようだが、ACコンセントのない場所で長時間使うような製品ではないので、特に弱点とはいえない。また、ACアダプターも210Wと大出力であり、サイズもかなり大きいが、厚さが薄く平たい形状なので、見た目もすっきりしている。
参考のために、いくつかベンチマークテストを行ってみた。結果は下の表にまとめたとおりで、非常に性能が高いことが分かる。例えば、TMPGEnc 4.0 XPressのテストでは、2分間のHDV形式の動画(1440×1080ドット)を、H.264にエンコードする時間を計測している。Presicion M6500は3分47秒でエンコードが完了したのに対し、Core i5-650(3.2GHz)搭載デスクトップPC(メモリー4GB、GeForce GTS 250、HDD 500GB、Windows 7 Ultimate 32bit)では4分18秒かかった。
Core i5-650のほうが動作クロックは高いが、同時スレッド実行数はCore i7-920XMの半分の4しかないため、エンコードのようなマルチスレッドに適した作業では、Core i7-920XMのほうが性能的に有利になるのだ。本製品は、3D CGやCADなどのCPUおよびGPUへの負荷が高い作業に向いた製品であり、ゲーミングPCではないが、高性能GPUを搭載しているため、最新ゲームベンチでのパフォーマンスも高い。
また、試用機には128GB SSDが搭載されているため、ディスクパフォーマンスも優秀で、CrystalDiskMarkのスコアも高い。
【ベンチマーク結果】ラストレムナント | |
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1280×720ドット | 106.41fps |
1920×1080ドット | 59.21fps |
1920×1200ドット | 58.57fps |
【ベンチマーク結果】CrystalDiskMark 2.2 | |
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シーケンシャルリード | 毎秒235.6MB |
シーケンシャルライト | 毎秒148.9MB |
512Kランダムリード | 毎秒243.5MB |
512Kランダムライト | 毎秒102.0MB |
4Kランダムリード | 毎秒15.85MB |
4Kランダムライト | 毎秒5.650MB |
モバイルワークステーションとしての魅力は高い
Precision M6500は、デルのモバイルワークステーションの中でも、最上位に位置する製品だけあり、性能、使い勝手、デザインを高いレベルで両立させた、非常に魅力的な製品である。今回の試用機はハイエンド構成であり、価格も65万円程度になってしまうが、スタンダードパッケージの最小構成価格なら27万1950円からである。
個人が気軽に購入できる製品ではないが、3DデザイナーやCADオペレーター、設計エンジニアなどが業務に使うマシンとしてお勧めできる製品だ。