Abeeは2004年に設立されたPC用ケースや電源ユニットなどを主力プロダクツとするメーカーだ。このジャンルは海外に本社を置くメーカーが多いのだが、Abeeは日本で設立されたメーカーであり、製品のデザインや機能に日本のユーザーの好みが大きく反映されたラインナップになっている。電源ユニットはミドルレンジからハイエンドを主力とする一方で低価格のZUMAXブランドを同時展開するなど、幅広いユーザー層をカバーしているのも特徴だ。
特集3回目の今回は、そんな新進気鋭のメーカー・Abeeの電源ユニットに対するこだわりや今後の展開などを、アビー株式会社広報担当の渋澤利幸氏に熱く語ってもらった。
――AbeeのPC向け電源に対する設計方針やこだわりを教えてください。
Abee すべての人に当てはまる最大公約数を狙ったスペックではなく、ひとりのユーザーの明日が楽しく、便利に、喜ぶような商品を開発する。それが、アビープロダクトの共通理念です。「開発ヒトツキ、想像ミツキ」という合言葉が当社開発部門にあり、ユーザーが製品を使う様子をイメージすることに多くの時間を費やし、これで固まったイメージを素早くカタチにします。これがAbeeのモノづくりの思想です。
――他社にはない独自のセールスポイントをお聞かせください。
Abee サポートは、末永く安心してお客様にお使いいただくため、独自のアフターサービス「トリプル保証」を用意しています。これは30日間の「返金保証」、30日間の「アップグレード保証」、そして万一故障が生じても、修理ではなく新品に交換する「新品交換保証」の3つで構成されています。この電源の新品交換保証は、アビーが最初に始めたサービスとして業界に浸透しています。
機能では「BFS PRO(バックアップ・ファン・システム・プロ)」と「NANO TEK FAN」で電源ユニットにおいて優れた静音性を実現しています。BFS PROが有効だと温度が低い場合にファンが停止するのですが、切り替えスイッチでBFSスイッチをオフにすればファンは常時稼働になるので、温度が気になる人でも心配はありません。
そのほかにも、Supremerシリーズは「ターボパワースイッチ」で複数系統の12V出力を1系統にまとめることができます。1系統の「COMBINEモード」では、各デバイスの消費電力が激しく変化しても、常に安定した出力供給を実現しますので、とくにゲーマーにお奨めです。
――定格出力はどのような基準で決められているのでしょうか?
Abee ビデオカードやCPUの主流や新製品に合わせてもありますが、ユーザーがコストを含めどういった環境でご使用になられるかを常に考えております。たとえば出力400Wの電源が欲しいユーザーは、たくさんのギミックを必要とせず、価格を重視するとか。ワット数によってもユーザーの使用用途を想像します。当社のラインナップは、メインストリームライン、スタンダードライン、パワーマシン向けラインなど明確に区分し、それぞれにおいてターゲット層のユーザーに適した定格出力の製品をリリースしております。
――安定性について独自の工夫があれば教えてください。
Abee ACコンセントから供給される交流電源は常に100Vとは限りません。特に築年数の経った高層マンションなどでは、電力の使用量などにも起因して、100Vを大きく下回る場合さえあります。AC100Vを下回る低電圧時に生じやすいPCのシャットダウンを抑制し、大切なデータの消失やハードウェアの故障を防止するため、AC90V環境まで対応する低電圧対応設計を施した日本国内仕様100Vチューニングをすべての機種に採用しています。
保護機能は“オーバーシュート(電圧などの急上昇/急降下)”を防止する過電流・過電圧保護回路を搭載しています。また、予期しないシャットダウン時のメモリー内容の喪失防止や起動時のディスクスキャンを防ぐシグナルコントロールカード、ショート防止回路の搭載など、十分な安全設計を施しています。
そのほかにも「デュアルフォワードコンバータ設計」で低負荷時はもちろん、高負荷時にも優れた電源変換効率を実現しています。直流変換を担うPWM回路を高周波で制御することにより、高性能ビデオカード特有の急激な電力要求に速やかに応答するほか、電圧変動を最小限に抑え、常に安定した動作をキープします。

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