Thermaltakeは1999年にPCの冷却製品をメインとして設立された。冷却製品はファンやCPUクーラーのほかに、水冷システムやVGAクーラー、チップセットクーラーなど多岐に渡り、幅広いユーザーを網羅する製品群をリリースするメーカーとなっている。また、冷却製品のほかにもPCケースや電源ユニットの分野でも製品展開しており、今回の記事のテーマとなる電源ユニットは600W以上の高出力モデルがラインナップの中心となっている。
特集の4回目は、そんなThermaltakeの電源ユニットに対する姿勢やこだわりのポイントを日本サーマルティク株式会社プロダクトマネージャーの杉田徳文氏に伺った。
――パソコン向け電源ユニットに対する設計方針やこだわりを教えてください。
Thermaltake 特徴としては、まず出力系統の最重要ラインとなる12V系統です。最近は12Vを複数ライン搭載して安定化を図っている製品が多いのですが、ラインが増えると、どのケーブルがどのラインなのか混乱するほかに、ウルトラハイエンドのビデオカードのような1ラインで巨大な電力を消費する場合ですと供給が足りなくなることがあります。そのため、弊社製品はあえて12Vを1ラインにまとめました。
また、ケーブルがロングケーブルになっているのもこだわりです。これにより、マザーボードの背面を通すレイアウトにも対応できるほか、「ケーブルが短くてまとめにくい」といったこともなくなります。流行の80PLUSにも注力しており、今売れ筋のToughpowerXTシリーズは80PLUS BRONZE認証を取得しています。
――他社にはない独自のセールスポイントはございますか?
Thermaltake シャットダウン後の熱対策として「ファン・ディレイ・クール機能」を搭載しています。これはPCがシャットダウンした後も冷却ファンを回し続けることにより、内部温度上昇によるパーツのダメージを軽減するためです。時間は15/30秒または自動制御を設定できます。そのほかには、電源内部の異常をユーザーが検知するために「S.P.T.インジケーター」を搭載しています。これは5Vスタンバイ、PGシグナル、内部温度の状態をLEDランプで表示するものです。
サポートに関しては、現在弊社で取り扱っている電源ユニット製品の殆どが5年間保証をしています。長期の保証期間でユーザー様にも安心してもらえると思います。
Thermaltakeの研究では、電源ユニットの故障の多くが電源停止後の温度上昇によって引き起こされているという。「ファン・ディレイ・クール」はクールダウン時間を設けることで筐体内の温度上昇を防ぐ機能だ
――安定性について独自の工夫があれば教えてください。
Thermaltake パーツに関しては、コンデンサーに日本製の高品質なものを採用しています。ちなみに1次側は85℃、2次側は105℃を使っています。また、日本のコンセントの電圧は100Vとかなり特殊で、家屋によっては供給電圧が100Vよりも低い場合もあり、海外で一般的な115Vをターゲットにした設計では不安定になる可能性があります。弊社では90~115V入力対応のチューニングを施すことにより、より安定した電力供給を提供できるよう工夫しています。
――80PLUS認証に代表されるような、高効率化に関する取り組みはどのように?
Thermaltake すでに認証済みの製品をリリースしていますが、本社サイドでは80PLUSの各ランクの基準を満たした製品を、順次ラインナップしていく予定です。ユーザーの皆様は、より豊富な選択肢から製品をチョイスできるようになるでしょう。

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