AMDチップセットの歴史 その4
ServerWorksやNVIDIAに支えられたOpteronの初期
2010年03月29日 12時00分更新
結局、HT-2000の方は少々遅れて、2005年8月に提供された。こちらはPCI Express Gen1が合計17レーン(Linkが4本なので、例えば8+4+4+1が可能)追加され、またGigabit Ethernetも2ポート追加されるなど、サーバー向けに必要な機能がようやく揃った。CPUとの接続も16レーンとなり、1000MHzでの接続が可能になっている。構造的に言えば、(AMDが最終的に提供しなかった)PCI Express Tunnel※1となるわけで、これでやっとボトルネック解消への道筋ができた。
※1 こちらの記事にあるAMD-8131/8132/8151に似た構造だが、PCI-XやAGPの代わりにPCI Expressが出るチップ。
2006年8月には、Socket FのOpteronに対応した「HT-2100」「HT-1100」がリリースされる。基本的な構造は変わらないが、PCI Expressは合計24レーン(Linkは5本)に増やされ、USBは合計12ポートとなったほか、HDA(High Definition Audio)も統合された。その一方でPCI-Xのサポートが省かれるなど、現実に即した進化となっている。
機能面では充実していた
NVIDIAのAMDサーバーCPU向けチップセット
続いてはNVIDIAのAMDサーバーCPU向けチップセットである。NVIDIAは2005年1月に、「nForce Professional 2000」シリーズを発表した。登場時期自体はServerWorksより遅いが、完全なラインナップを提供した時期で見れば早いことになる。そのnForce Professional 2000シリーズだが、ラインナップは以下の2つがあった。
- nForce Professional 2200 Media and Communications Processors(MCP)
- nForce Professional 2050 I/O companion chip(ICP)
ちょっとわかりにくいが、「2200 MCP」そのものはワンチップ構成で構成され、そのほかのコンパニオンチップは必要ない。ただ、用途によっては2200 MCPが提供する合計20レーンのPCI Expressでは不足する場合がある。その場合、別途「2050 ICP」を利用することで、PCI ExpressレーンやSATAポート、Gigabit Ethernetポートなどを増やせる。
仕様上は、2プロセッサー構成のOpteronの場合、図5のような2200 MCPと2050 ICP×3の構成が可能だ。この場合はシステム全体で以下のポートが使える計算になる。とはいえ、さすがにここまで巨大なシステムは見たことがないが。
- PCI Express Gen1 4×16+16×1(合計80レーン)
- SATA 2.0ポート×16
- Gigabit Ethernetポート×4
ちなみに2050 ICPは、2200 MCPと比較して「PCI Expressレーンの分割が固定」されているとか、パラレルATAポートやUSBポートが削減されるといった機能制限がある。
これに続き、2006年8月にはやはりSocket Fに対応した形で、機能強化された「nForce Professional 3000」シリーズ3製品がリリースされる。
- nForce Professional 3600 MCP
- nForce Professional 3400 MCP
- nForce Professional 3050 ICP
2000シリーズ同様、3600 MCP/3400 MCPは単体で利用できるワンチップ構成が可能だが、拡張性が足りない場合には3050 ICPを併用する。2000シリーズとの主な違いとしては、PCI Expressのレーン数が28に増やされ、Gigabit Ethernetを2ポート搭載するようになったことと、SATAが6ポートに増やされたことが挙げられる。3600 MCPは1~8プロセッサーのサーバー向けとされ、3400 MCPは1プロセッサーのワークステーション専用になっている。
この連載の記事
-
第768回
PC
AIアクセラレーター「Gaudi 3」の性能は前世代の2~4倍 インテル CPUロードマップ -
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ -
第764回
PC
B100は1ダイあたりの性能がH100を下回るがAI性能はH100の5倍 NVIDIA GPUロードマップ -
第763回
PC
FDD/HDDをつなぐため急速に普及したSASI 消え去ったI/F史 -
第762回
PC
測定器やFDDなどどんな機器も接続できたGPIB 消え去ったI/F史 -
第761回
PC
Intel 14Aの量産は2年遅れの2028年? 半導体生産2位を目指すインテル インテル CPUロードマップ -
第760回
PC
14nmを再構築したIntel 12が2027年に登場すればおもしろいことになりそう インテル CPUロードマップ -
第759回
PC
プリンター接続で業界標準になったセントロニクスI/F 消え去ったI/F史 -
第758回
PC
モデムをつなぐのに必要だったRS-232-CというシリアルI/F 消え去ったI/F史 - この連載の一覧へ