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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第45回

AMDチップセットの歴史 その4

ServerWorksやNVIDIAに支えられたOpteronの初期

2010年03月29日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

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ServerWorks、NVIDIA、AMDのサーバー向けチップセットロードマップ

ServerWorks、NVIDIA、AMDのサーバー向けチップセットロードマップ

 結局、HT-2000の方は少々遅れて、2005年8月に提供された。こちらはPCI Express Gen1が合計17レーン(Linkが4本なので、例えば8+4+4+1が可能)追加され、またGigabit Ethernetも2ポート追加されるなど、サーバー向けに必要な機能がようやく揃った。CPUとの接続も16レーンとなり、1000MHzでの接続が可能になっている。構造的に言えば、(AMDが最終的に提供しなかった)PCI Express Tunnel※1となるわけで、これでやっとボトルネック解消への道筋ができた。

※1 こちらの記事にあるAMD-8131/8132/8151に似た構造だが、PCI-XやAGPの代わりにPCI Expressが出るチップ。

 2006年8月には、Socket FのOpteronに対応した「HT-2100」「HT-1100」がリリースされる。基本的な構造は変わらないが、PCI Expressは合計24レーン(Linkは5本)に増やされ、USBは合計12ポートとなったほか、HDA(High Definition Audio)も統合された。その一方でPCI-Xのサポートが省かれるなど、現実に即した進化となっている。


機能面では充実していた
NVIDIAのAMDサーバーCPU向けチップセット

 続いてはNVIDIAのAMDサーバーCPU向けチップセットである。NVIDIAは2005年1月に、「nForce Professional 2000」シリーズを発表した。登場時期自体はServerWorksより遅いが、完全なラインナップを提供した時期で見れば早いことになる。そのnForce Professional 2000シリーズだが、ラインナップは以下の2つがあった。

  • nForce Professional 2200 Media and Communications Processors(MCP)
  • nForce Professional 2050 I/O companion chip(ICP)
2200MCPと2050ICPを搭載したマザーボードの例

2200 MCPと2050 ICPを搭載したマザーボードの例

 ちょっとわかりにくいが、「2200 MCP」そのものはワンチップ構成で構成され、そのほかのコンパニオンチップは必要ない。ただ、用途によっては2200 MCPが提供する合計20レーンのPCI Expressでは不足する場合がある。その場合、別途「2050 ICP」を利用することで、PCI ExpressレーンやSATAポート、Gigabit Ethernetポートなどを増やせる。

図4 nForce Professional 2000使用時のシステム構成

図4 nForce Professional 2000使用時のシステム構成

 仕様上は、2プロセッサー構成のOpteronの場合、図5のような2200 MCPと2050 ICP×3の構成が可能だ。この場合はシステム全体で以下のポートが使える計算になる。とはいえ、さすがにここまで巨大なシステムは見たことがないが。

図5 2200 MCP+2050 ICP×3のシステム構成

図5 2200 MCP+2050 ICP×3のシステム構成

  • PCI Express Gen1 4×16+16×1(合計80レーン)
  • SATA 2.0ポート×16
  • Gigabit Ethernetポート×4

 ちなみに2050 ICPは、2200 MCPと比較して「PCI Expressレーンの分割が固定」されているとか、パラレルATAポートやUSBポートが削減されるといった機能制限がある。

 これに続き、2006年8月にはやはりSocket Fに対応した形で、機能強化された「nForce Professional 3000」シリーズ3製品がリリースされる。

  • nForce Professional 3600 MCP
  • nForce Professional 3400 MCP
  • nForce Professional 3050 ICP
3600 MCPを搭載したマザーボードの例

3600 MCPを搭載したマザーボードの例

 2000シリーズ同様、3600 MCP/3400 MCPは単体で利用できるワンチップ構成が可能だが、拡張性が足りない場合には3050 ICPを併用する。2000シリーズとの主な違いとしては、PCI Expressのレーン数が28に増やされ、Gigabit Ethernetを2ポート搭載するようになったことと、SATAが6ポートに増やされたことが挙げられる。3600 MCPは1~8プロセッサーのサーバー向けとされ、3400 MCPは1プロセッサーのワークステーション専用になっている。

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