「また御社か」「職人芸の無駄遣い」「社長仕事してください」――
ニコニコ動画広しといえども、動画にそんなタグがつけられるのは「作ってみた業者」シリーズを置いてほかにない。シリーズに掲載されているのは、「初音ミク」などの人気キャラをあしらったラッピングカーや食器、はてはエレキギターなどのメイキング映像だ。
動画が話題を呼んだのは、会社の機械を使い、経営者自らが作品を作っているということ。大型プリンターやプレス機など使われている機材は当然ながらプロ仕様で、出来上がった作品も「なぜ販売しない!」というコメントがつく完成度になっている。
2007年10月にはじめての「作ってみた」動画を投稿してからおよそ2年間、昨年の11月30日までに23本もの動画を「納品」しているこの業者。たしかに知名度は上がってはいるものの、コストはバカにならないはず。そもそも趣味なのかPRなのかも分からない。
ご存知の方もいるかもしれないが、この有限会社タップさんはレースイベント「SUPER GT」に出走した「初音ミクZ4」のラッピングをしたことでも知られている(関連記事)。ということはつまり、動画を機に本気で「御社」として仕事を受けたことになるではないか。
もしかしたらあのやり方に、巧妙なウェブマーケティングの流儀が隠れているのかもしれない。あらためて動画を見ているうちに社長がいったい何を考えているのか知りたくなったので、はるばる埼玉県狭山市まで遠足気分で足を伸ばしてみた。