「スリー、ツー、ワン、ファイアー!」
威勢のいいかけ声と共に、パタパタと羽ばたきながら一斉に空を舞い始めた羽ばたき飛行機。その姿は水玉にシマシマと、まるでパンツのよう。そう、これはパンツ型羽ばたき飛行機。何と200人近くが集まって、一斉にパンツ型羽ばたき飛行機を飛ばすイベント「空フェス!」が6日に開催された。
一見、バカバカしいイベントに見えるが、本人達は大マジメ。わずか1.7gの重さしかないラジコン飛行機や、蝶のように優雅に羽をひるがえしながら飛ぶ羽ばたき飛行機など、他のイベントではなかなか出てこない本格的な飛行機が飛ぶ模様も見ることができた。その模様を詳しく紹介しよう。
「空フェス!」ダイジェスト動画
意外に難しい!? パンツ型飛行機作り
会場となったのは、東京都千代田区にある「3331 Arts Chiyoda」内の体育館。14日にオープンするアートセンターで、「空フェス!」はそのプレオープニングイベントとして行なわれた。
この催しの中心となったのは、みんなで集まって「パンツ型羽ばたき飛行機」を作るワークショップだ。
ASCII.jpの読者なら分かっている方も多いと思うが、「パンツが飛ぶ」というのは、アニメ「そらのおとしもの」の2話エンディングで流れたパンツが渡り鳥のように編隊を組んで飛んで行くという映像が元ネタとなっている。
この映像に感銘を受けたSF作家の野尻抱介氏が、羽ばたき飛行機として実体化。飛ぶ様子を動画コミュニティーサービス「ニコニコ動画」に投稿したところ、「本当に作ったのか!」とこれまた注目を集めて、ニコニコ動画の関連イベントでも取り上げられた(関連記事)。
イベントでは主催団体の1つである、ニコニコ動画発の「ニコニコ技術部」部員らが講師を務め、素人とは思えない丁寧な仕事ぶりで来場者に組み立て方法をレクチャーした。こちらの講師陣、関東在住の部員よりも中部/関西からの参加の方が多いとのこと。全員が手弁当での参加というのだから、とんでもないバイタリティーだ。
参加者は小学生の子供から上は80代のおじいちゃんまでとバラエティ豊か。工作イベントにしては女性同士連れだっての参加も多かった。真剣な表情で工具を握りしめ、1時間弱の作業でパンツ型羽ばたき飛行機が完成。しかし、手作り飛行機の難しいところは実はこれからなのだという。
羽ばたき型飛行機は、巻いたゴムを動力にして鳥のように両翼を上下に羽ばたかせて空を飛ぶ。そのせいで、わずかなバランスの片寄りが大きく影響してしまい、蛇行してしまうことが多い。うまく真っ直ぐ飛ぶように調整するのにコツが必要なのだ。
そのため、羽ばたき飛行機完成後は講師が調整を申し出たが、ほとんどの参加者が「自分でやりたい」と辞退。実際に飛ばしながら、当日参加者限定で配布された、野尻先生お手製の「空飛ぶパンツ 飛行調整補足」を参考に調整を楽しんでいた。
完成したパンツ型羽ばたき飛行機が大集合した一斉飛行では、観客から歓声が上がっていた。
