メイドさんにお見送りされたい!
『北浜のオフィス街にメイド大集合』。そんなタイトルを掲げた小さな記事が、ある新聞の地方欄に載ったのは今から1週間ほど前のこと。夕飯後の番茶をすすりながら新聞に目を通していた筆者は、そのタイトルに思わず目が釘付けとなった。もちろん、ここでいうメイドさんとは秋葉原や日本橋で活躍しているほうで、決して本職の家政婦さんを指しているわけじゃないことは、その記事を見れば明らかだ。
お堅い一流企業が立ち並ぶ大阪一のオフィス街・北浜と、メイドさんの組み合わせ。ある意味で、最も異質といえるこの2つが組み合わさったとき、いったいそこにどんな光景が展開されるんだろう? それを確かめるべく、筆者は現地へ向かった。
『北浜メイドキャラバン』と題されたイベントを企画した川合正哉氏に話をうかがってみると、今回のイベントは日本橋のメイドさん関連のお店、約30店舗で作る「日本橋メイド協会」が主催するとのこと。昨今の長引く不況で、日本橋界隈のメイドカフェも徐々に閉店するお店が出てきていて、残っているお店も軒並み売り上げが2~6割減という厳しい状況にあるのだとか。
そこで、各お店のメイドさんや執事さんが街頭に立ち、日本経済を好転させようと日々頑張るサラリーマンの皆さんにエールを贈るとともに、日本橋のメイドさん文化の素晴らしさをアピールしよう、という狙いがあるようだ。
しかし、果たして北浜の証券街でメイドさんがアピールしたとして、その効果はあるのだろうか? 川合氏によると「メイドカフェを利用するお客さんはサラリーマンの方が中心。北浜にメイドさん達が立つことで、皆さんから愛されている日本橋のメイドさん文化はまだまだ元気だとお伝えすることができます」とのこと。
そういえば、日本のメイドさん文化は外国人にも人気で、外国企業の商談相手をメイドカフェに連れて行ったら商談がうまくまとまった、という冗談のような話を筆者も聞いたことがある。それに、日本橋のメイドカフェは、秋葉原のそれと較べると値段も比較的安価で、お店も一般的な喫茶店にメイドさんがプラスされたようなしっかりしたお店が多いという。
どうやら今回の北浜でのお見送りイベントは、そういった日本橋ならではのメイドさん文化をアピールする以外にも、これまでメイドさん文化に馴染みのない人の中から新規顧客の掘り起こしにつなげたい、という意図もあるようだ。
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